意味をあたえる

文章としかいいようがない fktack@yahoo.co.jp

恵方を向くとコタツから足が出る

家に帰ると恵方巻きが薪のように皿の上に積み上げられていてそういえば中学のときの林間教室では薪係だったことを思い出しそのとき初めて薪とは草冠に新しいことを知った 夜の全校生徒が輪になって踊るコーナーで隅のバンガローの陰のところに男の幽霊が立っていると一部の女子がパニックを起こした林間教室だ 富士五湖のどこかのほとりのキャンプ場だった 部屋の壁に蚊取り線香がぶら下がっていて私はそのとき初めて蚊取り線香は縦向きでも使えることを知った 林間教室では以上のことくらいしかおぼえておらず一部他の記憶も混じっている気がする あと私の班はなかなか火がつかなかった


子供たちが恵方巻きを作ったらしくアプリで恵方を調べて無言でそちらへ向いて食べた それは薪のようであった ふざけて焼き芋を食べるときみたいに真ん中で折って
「ほっかほか~」
とやったらキュウリがつるんと飛び出した 折れなかったのである 恵方を向くとどうしても片足が出る形になってしまい寒くて不愉快だった 昼間は暖房が効きすぎてやはり不愉快で今年の冬は例年よりも体温の調節がうまくいかない 節分だからもう春だ 実家の近所に武家屋敷みたいな門の家があってその門の向こうに桃の木があって春になると花が咲いた