花粉症の症状がそれほどでもないのに耳鼻科にかかるのに抵抗があったが妹にきいたらすでにかかったといいしかも薬は一ヶ月分もらえると言うから同じ耳鼻科にかかることにした それでも(もし混んでいたらどうしよう)とか(看護師の感じが悪かったらどうしよう)とか考えて結局建物の周りを三周してしまった 実は何年か前にいちどかかっていてそのときは信じられないほど混んでいるし子供ばかりだったしあとボス猿みたいな中年の看護師が診察室と待合いの間にまるで関所の主みたいに立っていてこちらに睨みをきかせていた 患者はまるで勧進帳を読み上げるみたいに自身の症状を伝えなければならなかった
三周目で診察券を持ってこなかったことに気づきいよいよ(また今度にしよう)という気持ちが強くなった しかし駐車場を見ると車が数台しか止まっておらず私も大人になっていい年なんだから「診察券忘れました」と堂々と言うくらいわけないことに気づき気を取り直した しかし久しぶりだったから建物のどこが入り口かわからず右往左往した 裏に回ると水路が流れていてこちら側に入り口があるわけないと判断し再び表に回った 車庫があってその向こうが入り口だった 個人宅に併設された病院だったのである 建物にはいる待合いには誰もおらず私は諦めずにやってきたことを喜んだ しかし受付ではなんとなく「初めてなんですけど」と嘘をついた 「家族でかかっている人はいますか?」との問いには本当にわからないから「わからない」と正直に答えた 何秒もしないうちに「平成24年にかかってますね」とウソがばれた 「あぁ」と中途半端な返事をした しかし5年前だからわすれていても不思議ではない気もする しかし私はばっちりおぼえているから忘れてしまう自然さ不自然さが判断できない 関所の番人は変わらずいたがすぐに道を開けた 患者が私しかいなかったためである 医師は女だったが五年前は男だったと思う 当たり前のように「前のがかなり強い薬だったんでまたそれ出しますね」と言われた 処方箋を見ると2週間分しか出されていなかった そういえば五年前も2週間分しか出なかったからそこは見切りをつけて眼科だの市販薬に移行したのだ