よく晴れた朝である 電車は田園地帯を走り私のかつての通学路を横切った 中学である およそ4キロの通学路でありその踏切がちょうど真ん中の折り返しであった 線路を超えると別のエリアに入ったかんじがした 私にとってある種の境界であった
踏切に引っかかるのも一度や二度ではなかったはずだが、果たして横切る電車を見ながらいつかこの視点が反転する可能性について考えたことがあっただろうかと考えた なかった気がする それくらい私にとって将来は漠然としすぎてイメージできないものであった 今でも不思議だが将来の夢というのが職業を指すのはなぜだろう お医者さんとか大工さんとか幼い子供が大人をイメージするときに専門職じゃないとうまくできないから未来が職業になってしまうのはわかるが
話はぜんぜん変わるがさっき電車内でサラリーマンがものすごい真面目な顔をして「少年ジャンプ」を読んでいるから気圧された まるで契約書か報告書に目を通すような具合であった 私はマンガ雑誌をあまり読まないが昨今の漫画はそんなに申告なのか 発行部数が一時期よりもかなり落ち込んでいると聞くがそういう雰囲気が読者に伝わってしまっているのではないか