ムカデを見ると反射的に殺さねばと想ってしまう 毒があると聞く 最初に見たのは中学が高校のときにコタツの中に入っていたのを妹が発見したのが最初だ 大騒ぎする私たちの元に父が部屋から駆けつけて
「毒持ってるぞ!」
と警告を与えるだけで引き上げてしまったので自分たちでどうにかしなければならなかった 潰そうとしたがとにかく硬いので難儀した 最終的に風呂の排水口から流してしまった気がする それから幾日もしないうちにまた出てきて原因としては家の周りの草を伐採したために家の中ににげこんできたのではないかと分析した 自然破壊で里山を追われたクマが町に出没するみたいな話である その経験が元で私の中にムカデについて
・硬い
・遭遇したらとことんやらなければならない
という認識が刷り込まれた 田舎なので何年かに一度は遭遇する 最初の遭遇のあとにムカデは皮が固いので熱湯をかけて殺すのが効果的とアドバイスを受けたため試したら効果てきめんであったので以来ムカデを確認したらまず湯を沸かすようにした しかし湯を沸かす間にかくれられると厄介なのとお湯をかけると下が濡れるから場所を選ぶというのが欠点であった いつだったか洗濯機の中で遭遇したことがあって水を張った状態だったので押さえ込んで殺したこともあった 思ったよりも長い時間脚をバタバタさせていたのでひょっとしたら昆虫は酸素がいらないのかもしれないとヒヤヒヤしたがやがて動かなくなった
今日は道の駅の建物のそばで見つけたのでやはり危ないと思ったが自宅ではないのでしばらくいたぶった後に体の上に石を積んで動けなくしてその上から体重をかけて圧死させた その後虫の息のゴキブリを見かけたがこれは放っておいた 見晴らし台があったので家族と息を切らせながら登るとさっきのゴキブリを見かけたところも見え、すると子供が「さっきのゴキブリまだ生きてる」と言うので見えるのかと訊くと黒い点が多分そうだろうと言うので無茶言うなと思った 保坂和志が神宮球場の外野席からピッチャーの投げた球のストライクとボールがはっきり判別できたという話と同じだろうか