意味をあたえる

文章としかいいようがない fktack@yahoo.co.jp

向こうの橋

当たり前だが行きと帰りで同じ道を通っても見える景色は違う 特に車だと走っている車線がちがうので行きに見えていたものが帰りには見えないということもある 今の会社はもう勤めて8年経つが昨日初めて橋を通るときに遠くにも別の橋が見えることに気づいた 帰りに見えたのだから生きも見えるだろうと朝も見てみたがぜんぜん見えなかった 私の橋はとちゅうで大きくカーブしているからちょうど死角になるようだ 代わりに保育園が見える 保育園は朝から庭にプールが用意されている まだ入っている子供はおらず浅くて広い水色のそれは縁日の金魚すくいのようだ 庭を取り囲むように建物があって廊下には壁がなく押し入れに布団が詰まっているのが見える 私はそれを見る度にキャンプのバンガローを思い出す 思えば私はキャンプの好きな子供だった キャンプと言えばテントだがしかし行く度どこのキャンプも泊まるのはバンガローだった 子供のころ読んだ雑誌のキャンプ特集でテントの周りには必ず溝を掘るようにと注意がなされていて私は「城みたいだ」とわくわくしたがついに自分で堀を作る日は来なかった それでもバンガローも山の斜面に建って基礎が丸見えなのとか楽しかった  インストラクターのお兄さんが夜の余興の出し物としてエイトマンの歌の振付をしてくれ「弾よりも早く」というところは今でもかろうじて憶えている 知っている人は誰もおらず確かそのときは小学一年で寂しくもあったが私は気楽だともかんじた


それから早回しで人生は流れ今はまったくキャンプはしないし妻や子供は私が幼いころはキャンプ行きまくったことは想像もできないだろう プロ野球のオールスターの時期にするキャンプもあった 帰りの車のラジオでオールスターを聞いた