意味をあたえる

文章としかいいようがない fktack@yahoo.co.jp

途中式(19)

緊急会議というのがあって営業本部長という人がおでましした 正確にはテレビ会議というやつでSF小説に出てくるみたいに画面には出席者の顔が並んでいる テレビ会議でいちばん気をつけなければならないのはマイクのオン/オフの切り替えでうっかりオンにしたまま画面の悪口を言っていると恨みを買いかねないので皆しぜんと無口になる しかも少し前にテレビ会議のシステムが替わったばかりでこのマイクの切り替えがわかりづらいアイコンで色がついているときがオンなのはわかるがアイコンの絵はマイクの絵に斜めの線が引かれているからついているからオフなのかオンなのか「わからないこともないこともない」みたいな状態でやっぱりしゃべれない 隣でひさしぶりに会議に出た三谷さんが「これは誰だ」と指差して聞いてくるから困った 
「もう秋だというのにノースリーブを着ているのは誰?」
と訊いてきてこの人はコンサルタントとしてやってきてそのまま課長になったY女史だった Y女史は相当の暑がりなのかそういえば春先に初めてお目にかかったときからノースリーブでしかし痩せていて年齢不詳なのである そのときはテレビじゃない本当の会議で私と鴨下は東京タワーのそばの駅で降りて本社という場所に行き予算に関する会議を受けた 会議は13時からだったので昼食を食べようということになりしかしオフィス街だったからなかなか食べるところが見つからずやっと見つけたカレー屋に入って私はカツカレーを食べ鴨下はメンチカレーを食べた メンチが好物なのだそうである その後カウンターでしばらく三谷さんと淀川の悪口を言い合ってお口直しにコーヒーを飲んでいたら危うく遅刻しそうになった