意味をあたえる

文章としかいいようがない fktack@yahoo.co.jp

途中式(28)

鉄骨ばかりを眺める一日であった 雨が降り若い人をたくさん見た 私の靴底がたくさんの雨を吸った 唐揚げを食べたら中心が凍っていて肉のシャーベットだった 妻も子も食べたが冷たいのは私だけだった


高校生がロックを演奏する姿を見て私はとめどなく記憶を行ったり来たりして私の過去を再定義したが演奏はすぐ終わってそうすると不思議なくらい私も考えがぼんやりしてしまいあとは鉄骨を眺めてすごした マシュマロに液体窒素をぶっかけてみたいなのも今年が最後だ 建物と鉄骨はゆるりと劣化していくのに高校生たちの成長は早い 生物部の親方みたいな女の子を見たのはもう二年前だが今はどうしているのか ちゃんとした敬語を使おうとして小さくまとまってしまっていないか心配だ 敬語にうるさいのは淀川だ 入って間もない頃「~っすね」というしゃべり方をする度に怒られた 今思えばそういう言い方が気に食わないのではなく、そういう言い方は気に食わないべきとテレビかなんかで情報を仕入れたのだ だって彼は目上の人にまともな敬語なんて使えないのだから「~じゃねえですか」みたいな言い方をしていた 下関川などはかわいそうに淀川に何度も咎められて敬語の本を買っていた 彼は元々接客の仕事をしていたのだが