ホームセンターに行ったらそこかしこで「パパ、パパ」と呼ぶ幼児の声が聞こえ世の中はパパであふれているんだなと思った かつては私もその中のひとりでもちろん今でも子供は健在で私を呼ぶことがあるがホームセンターの「パパ」で私が呼ばれたような気はしない ウォーキングマシンの見本の上で男児が「なぜ動かないんだ」と泣き声をあげている 簡易な柵が置かれそこには「お子様のご利用はやめてください」と書いてある もちろん大人もダメだが大人は周りの目を気にするから乗らないだろうという店側の読みなのである 男児の泣き声は妙に私の感情を逆なでしそんなに動かしたいなら私がどうにかスイッチを見つけ出しすってんころりんさせてやろうかと思った 想像力とは時に緩衝材の役を果たすのである 私は角材のエリアでじっとしていることができた やがて男児のもとに母親がやってきて「今日はそれはお休みなんだよ」と諭していた 私もよくそんなことを言った 私の子供は小賢しいのでそうすると「じゃあいつならやってるの?」と訊くから「知らん」とぶっきらぼうに答えた たぶんそういうことのすべてを忘れて子供は春になって学年があがる