意味をあたえる

文章としかいいようがない fktack@yahoo.co.jp

せっせと上書き

散歩をしたら気持ちが良かった くもっていたため暑くはなく土手に上って川を眺めた 対岸の植物が川面に写って印象派の絵のようだった 印象派とは客観から主観への大きな転換なのだろうか 足元には犬の糞があり 少し先には橋の橋脚のみが川に刺さっている いつかの台風が大雨で流された橋なのだろうか 少し行くと工事のゲートがあって鉄の編み目に蜘蛛の巣が張ってあった そこに麦の穂のもっと小さいような羽虫がぼつぼつとくっついていて近づいてみるとそのひとつひとつはまだ生きていた 羽が絡まって脚だけをぴくぴく動かし彼らは死を待つだけなのである 人間なら絶望とか恐怖をかんじるのだろうが虫だから何の感慨もないのだろう 感覚としては飛んでいるときと何ら変わらないのかもしれない たくさんいて一部が残れば良しとする装置なのだ 個に慣れすぎてしまった私たちにはそれが理解できない