意味をあたえる

文章としかいいようがない fktack@yahoo.co.jp

外を歩く女

私はべっ甲の洗濯バサミみたいに挟み込む髪留めが好きだ 私は髪を長く伸ばしたことがないから挟み込むことによってどういう効果があるのか今ひとつわからない 前髪がうっとうしくなくなるのか そういう髪留めをした女がバスに乗ってきてバス停をひとつ2つ行ったところで降りてしまった 距離として200メートルくらいしかない そんな距離をバスに乗るかというかんじである そのわずかな時間に私は女の髪にべっ甲の髪留めがはさんであるのを認めた それを使うと女は皆似たような髪型になるのである 降りた後も窓の外を見たが私の座っているのは車道側だったので見つけることができなかった と思ったら信号待ちの間に優雅に横を抜けていった それだけのことだった


過去の話をしてくれた人がいてそれを私は内心うらやんだが過ぎ去ってしまえば全部同じだと思った