差別はいけないことだと幼い頃から教えられてきたけれど、年をとるほどにどう向き合えばいいのか複雑でわからなくなってくる。差別と思っていたことが実はそうでもなかったり、また逆のパターンもある。私のケースを記そう。私は30歳の時に転職をし、そのときは3回目か4回目の転職で当時の上司に
「職を転々とするというのはこういうのを言うんだな」
とイヤミを言われながら今の職場にきた。今の職場というのは最初に筆記試験があってあまり考えずに受けたら通って「面接があります」と言われ何も考えずにというのは受かった後のことを考えなかったという意味で私は面接に行く都合がつかなくて断ったら「土曜なら来れるでしょ?」と言われ「行けます」と言って行ったら二階の入り口に出てきたのはアロハシャツのオジサンで面食らった。良い人なのか悪い人なのか最後までよくわからなかったがどうもカタギじゃないらしいという噂のある人だった。入れ墨を入れているらしい。
とにかくその職場は色んな職種があったが私は工場の勤務を希望していてそこでの仕事は決して楽ではないし腰も痛めたが1、2年も勤めたらほとんどストレスもなくはっきり言って楽な仕事だった。よくよく思い出してみると腰も前の会社の時に土曜日か日曜日に洗濯物を干しているときに突然ぎっくり腰になってそれが後を引いたのである。そのまま辞める理由もなく続けていたら突然異動となって今の新しくできる工場にやってきた。新しいというのは会社の中の新しい出来事という意味で、建物は借り物でとても古く、設備も故障していて柱も所々地面から浮いていた。裏の雑草が伸びすぎて隣の駐車場にはみ出て苦情を言われるような場所だった。そのことを家主に言っても家主は中国人で何かととぼけてやり過ごそうとするのが気にくわなかった。
いつまで経っても差別の話にならなくて困ったが、新しい工場なので新しい人たちなので、教えなければならず、相手は女性ばかりだった。私が働いていた頃は私も含め男ばかりだったから
(大丈夫かな)
と心配していたが案外大丈夫だった。むしろ少数の男性の方が頼りなくてすぐ薬剤が合わないとか(この薬剤が合わないという人は肌荒れも酷くて精神も病み勝ちで、気の毒だから多少休んでも大目に見ていたがあるとき病気も治まってきたら急に性格が悪くなって悪態をついて辞めていった)親戚が死んだりとかそういう人が多かった。もちろん女性も怪しい人はいて常に誰かを悪く言うことをモットーにしている人や妙な商材を売り込もうとする若い女などがいた。
それでも女性の方が一生懸命働いてくれるので情が湧いてきて少し楽な仕事を振っても逆にそういうのを嫌がった。細かい仕事より、重くて大変な方が合ってると口にする人もいた。確かに程度はあれど女性だからと言ってデスクワークが好きな人ばかりじゃないよなと思った。気がつけば世の中に女性が増えていて、トラックドライバーや警備員なども男性ばかりだったのが変わっていた。私の職場もそういう時流に乗ったのかもしれないがそれを「女性が活躍する職場」と表現するのはなんか嫌だと思った。