ひさしぶりに実家に顔を出し、そこから家に帰るとちゅうの電車でエアコンのマニュアルを持っている男を見かけた。エアコン本体ではなく冊子の方である。なぜこんな寒い時期にエアコンなのか、もしかして電化製品のマニュアルは思いの外時間つぶしになるのか。
昨日も電車に乗っていてとてと個性的な髪型のみ二人組に遭遇した。二人組と言っても彼らは赤の他人で、片方は黒電話の受話器のような形の髪型で、長い髪をヘアバンドで留めたサラリーマンである。結構年がいっているようだが色艶があるが、カツラかどうかは判断しづらい。将来カツラがかぶりたくなって、かつそのことを知られたくない場合はとても個性的な髪型にするのは手だと思った。もう一人はロックンローラーみたいな髪型で、整髪料をつけた髪が一定数で束になってつんつんしている。全体的にくすんだ色合いかつ所々白くなっているのが、そういう染料なのかつけすぎた整髪料が乾燥して粉をふいているのか、こちらも判断がつかない。昔はロックンローラーは若い人ばかりだったが、今はそういうのは流行らないのでそれなりに年をとっている。眉間のシワが頑固な職人を思わせる。
ロックンローラーが私と同じ駅で降りたのでしばらく様子を見ていたら、ヘンテコな歩き方をしていた。いったい何が変なのかしばらく見ていたら、つま先歩きをずっとしているのである。それが不安定で左右に振れながら歩いている。ポケットに手を突っ込み、すれ違う人を威嚇しているようにも見える。もし彼がミュージシャンなら、人間メトロノームになりきり一定のリズムを刻んでいるようにも見えなくはない。