意味をあたえる

文章としかいいようがない fktack@yahoo.co.jp

ここ十年でいちばん寒い

※「十年」は「五十歩百歩」的なのととらえてくれれば(国木田独歩

短歌でした!

明け方にどうしても寒いのでタンスから長袖を引っ張り出して今も着ている。タンスは上から三段目だ。三段と四段が私のエリアである。長袖は中学時代に池袋のジーンズメイトで購入したもので、ジーンズメイトは半分地下のような場所にあった。私は当時赤が好きだったから、赤いトレーナーを選んだ。それを15年以上着ている。ジーンズメイトの服はとても頑強なのであるかは知らないが、そういえばもう一着同じ頃に母がどこからか買ってきた紺と紫の合いの子みたいな色のトレーナーがあり、だから、その頃の私の服の扱いが頑強なのであった。母のほうは首もとに胸まで開くチャックがついていて、それは最初金属でくすんだシルバーだったが、変色して橙色っぽくなっている。妻は捨てろという。妻は嫉妬深い女であり。自分より長い付き合いの長い物が許せないのである。

一方赤いほうは全体が赤というわけではなく胸のあたりは群青で、真ん中に大きく「G」と書かれている。何のGだかはわからない。あるとき友達がそれを見て
「ゴッドの紋章だ」
と言った。当時連載していた「ロトの紋章」という漫画と掛けたのである。確かにGの周りには紋章っぽいのが書かれていたので、妥当な名付けであった。

とにかく寒いので、軽く喉が痛くなった。風邪ジャブと名付けよう。昨日も涼しかったので草むしりがはかどった。会社の草むしりである。家に帰って話したら、子供に笑われた。子供からしたら私がさぼっているとか、あるいは仕事の戦力外になったと思い滑稽に感じたのかもしれない。私はこういう無邪気さが好きである。私も中学くらいのとき、いつも帰りの遅い父が昼過ぎに帰ってきたから何か気の効いたことを言ってやろうと思い、
「クビにでもなったのか」
と言ったら
「ちげーよ」
と返された。違くない家庭は当時でもたくさんあり、私もそれをニュース等で知っていたが、それが意味することが、即座に理解できない年頃だったのである。

草むしりは社内政治では割と重要な意味合いを持つ。