意味をあたえる

文章としかいいようがない fktack@yahoo.co.jp

記憶の石

記憶の石(5)

20私のバッグは私の右の太ももと、壁の間に挟まっていた。バッグは表面がざらざらしていて、太ももにあとがついた。私は半ズボンを履いている。私は長ズボンの方が履きたかったが、衣替えをしたら、半ズボンしかなくなった。私は2人掛けの椅子の窓側に座って…

記憶の石(4)

16私が目を覚ますと、息子はまだ家にいた。私は毎朝7時40分に目を覚まし、8時25分に家を出る。勤め先までは、車ででだいたい20分の距離がある。私は白いトヨタ製のセダンに乗っている。それはトヨタに勤める弟から購入したものだ。息子の幼稚園のバスは、8時…

記憶の石(3)

8しかし父はその日の仕事が泊まりであったから、母が私のアサガオについて相談するのは明日以降だった。私は父がなんの仕事をしているのかはよく知らなかった。泊まりの他には遅番と、遅出というのがあったが、それらの区別は私にはつかなかった。なんにして…

記憶の石(2)

5アサガオの種は、植木鉢の土のところに、人差し指の第一関節までを突っ込んで穴を開け、そこに撒くという指示だった。その頃になると私たちは坂を登り切っていた。教室の前の廊下から一段下がったところにいつも体操のときの並び順で鉢を並べ、鉢は全員が青…

記憶の石

1小学校1年の頃に、親子で川原に石を拾いに行くという行事があった。あるいは、あった気がする。石を持ち帰り、そこに絵を書くのだ。石は重いし、それと尖っているのもあるから、先生は前日に「袋は必ず二重にして持ってくるように」と指示した。怖い先生だ…