意味をあたえる

文章としかいいようがない fktack@yahoo.co.jp

派遣のノグチが会社へこなくなって2週間が経つ。奇妙なのは、一言「やめる」と言ってくればいいのに、いつまでも電話にもメールにも返事をしないで、仕方なしに、友人のB男が家まで訪ねたら、父親が出て来て「ちょっと待って」と言ったままいつまでも待ちぼうけを食わされ、しばらくして左のポケットに入れた携帯が震え、「明日、話す」とただ一言入っていただけだ。ちなみにB男はいまだにガラケーを使う奇特な人だ。趣味は映画鑑賞と言うが、私はアイドル好きなのではないかと疑っている。先日のAKBがノコギリで殴られた事件の後、私はあえて大声で、H・Kくんと、「情報が錯綜している、骨折・裂傷とは指がほとんどちょん切れて、皮一枚でつながってる状態って出てたよ」なんて話しながら、横目でB男の様子を伺った。B男はコードを束ねるのに苦戦して、私たちの話は耳に入っていないようだ。B男は指先がたいへん不器用なのである。
私は今、一時的にノグチのデスクで仕事をしているが、今日、ノグチの道具箱の横に「他」とボールペンで書かれているのを見つけた。私は面白がって、隣のMさんに「ダイイングメッセージ見つけました!」と言おうと思ったが、死んでないのに可哀想かな、と思い、発生する直前に「SOSが」と差し替えた。私の指先を示した文字を認めるとMさんは「ダイイングメッセージ?」とあっさり言った。