意味をあたえる

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反復が世界を変える

昨日に、としぞう (id:gerge0725) さんの記事を、読みました。今日も読みました。昨日の記事のなかでは、「目標を達成したご褒美を与えることはどうか?」について述べられていて、大変興味深く読んだ。理由は、僕の子供も中学生で、そういう年頃になると、両親も勉強について考えてしまうからです。一種のトレンドなのです。中学生の子供は志津という名前です。本当はそんな名前ではありません。以前書いた小説の中で、志津、ネモちゃん、と名付けてそれをそのまま流用したのです。

僕は志津が中学にあがったころには、よく
「勉強するように」
と言っていたのですが、あるとき妻も同じように
「勉強しなさい」
と言っているのを耳にして、
(どうして勉強しなきゃいけないんだろう)
と気になったので、
「どうして勉強しなきゃいけないの?」
と質問をしました。そうしたら妻は、
「わからない」
と答えました。それで夜になったので、僕自身はどうなのかと、眠る前に自分に同じ質問をして、ひとりで考えていたら、僕が志津に勉強してもらいたいと思う理由は、極めて個人的なものだったことに気づいたのです。個人的な内容についてはここでは省きます。だから、そういう個人の考えを押し付けるのは良くないと思ったので、それ以降は言わないようにしました。そうしたら、
「勉強しなさい」
と言うことがとてもつらくなりました。

しかし、それで話が済めばいいのですが、志津は勉強しろと言われなくてハッピーかと思ったら、そうでもないのです。あるとき志津は
「ここままじゃヤバいから、パパは理科を教えてください。社会は塾で教えてもらいます」
言ってきました。僕は
(ヤバいはちっともヤバくないんだよなあ)
と思ったので、そのことについて、じっくり教え諭したいと思ったのですが、他の家族の目もあるし、僕ひとりの子ではないので、請け負うことにした。

しかし、志津の方は
「勉強教えてください」
と頼んだことで、大体満足している風なので、僕はそれがとても気に食わなかったので、徹底的に締め上げることにしました。
「君が勉強しようがしまいが、俺には関係ない」
「「これから」とか「がんばる」とか意味不明な言葉を使うのはやめるように。点をとるかとらないかの話です」
志津は半泣きで
「じゃあこれからワークの残り全部やります」
と言ってきたので、
「それは逆効果だから、2枚まで。先にお風呂に入って、10時半には寝るように」
と注意しました。早くお風呂に入らないと、お風呂が冷めて妻が不機嫌になるからです。

話は変わりますが、としぞうさんの記事の中で、
「景品を与えることにすると、単に穴埋めをするようになって、効果が出ない」
という趣旨のことが述べられていました。

それで、僕が今志津にやらせているのはただの穴埋めです。ワークの答えを先に見させて、それから答えを埋めてもらうのです。まだテストは先なので、効果はあるのかはわかりません。このようなやり方にしたのは、単にやらせるだけでは丸が全然つかないからです。だから教えるのだ、という考えもありますが、僕は教えている人が思い通りに答えないと、だんだんイライラしてしまうのです。どうしてそうなんだろう、と考えたら、僕は十代のころはほとんど勉強をしなくてゲームばかりをしたからです。僕は学校で先生の言うことを聞いていたら、だいたいの問題はできてしまいました。だから、本当のところは、勉強を教えるなんてできないし、勉強をやる意味なんてもっとなのです。しかし、20歳を過ぎてからドラムのレッスンを受けたら、ようやく反復することの意味がわかったのです。

僕がそのとき受けていたレッスンはグループのレッスンで、入って少しすると発表会があると言うので、僕は参加することにしました。本番が近づくとだんだんと学校のテスト前のような雰囲気となり、みんなは、
「ここができないんですけど」
と先生に質問するようになるのです。僕はそういうのが馬鹿馬鹿しくて、レッスンをサボるようになりました。発表会の曲は僕は自分ではできたので、行く意味はないと思ったのです。発表会当日に鳴ると、リハーサルのときに先生が近づいてきて
「どうしたの?」
ときかれたので、正直に話したら、
「僕のレッスンはその人が課題を設定するのだから、ちゃんときなさい」
と注意されたので、僕は再び通い出した。そもそも、お金を払っているのはこちらだから、馬鹿なのはこちらなのでした。

それから、毎回基礎を教わり、基礎というのは、ほとんどストレッチと言った方がいいようなゆっくりとしたハエが止まりそうな退屈で、悠長な動作の繰り返しで、僕は
(こんなの意味があるのかな)
と思いながら続けました。そうしたら3ヶ月くらいして冬になり、自分のバンドのライブがあるときに、リハーサルをやったら、腕の動きが今までよりも全然楽になったので感動した。腕に筋肉が付いたからです。

すっかり嬉しくなった僕は、そのあとレッスンの見学に来た人に、
「3ヶ月やったら絶対に変わりますよ」
と触れて回りました。今まで懐疑的だったぶん、どっぷりとハマってしまったのです。そしてここからが面白いのですが、僕が、
「あの動きには、こういう意味があったんですね!?」
と興奮気味に言うと先生は、
「へえ、そうなんだ」
と、意外そうな顔をしたのです。そういう結果を予想していなかったそうです。それが反復の力なんだなあ、と僕はそのとき思いました。

だから僕は、志津には勉強を教えることはできませんが、反復はてこの原理みたいに、意外と大きなものを動かせるよ、ということは教えられそうなので、教えようと思います。もちろんご褒美は、ありません。

としぞうさんの記事はこちらです。

シリーズ中学受験③「先生,勉強したら何かもらえますか?」 - いつか朝日が昇るまで