意味をあたえる

文章としかいいようがない fktack@yahoo.co.jp

夏の終わり

最近は文章、文章、と文章のことばかり書いている気がするが、これはブログのアクセスアップを狙ってのことである。しかし文章のことについて書く、というのはうまい例えが見つからないが、なんだか楽をしている気がする。私が目指している、というか憧れているのは昔ソニー・ロリンズのことを村上春樹が書いていたときに、それは分厚い文庫本のほうを買ったが元の単行本は2冊であり、2冊目は1冊目が好評だから出たのであり、初めから予定されていたものではない。書きそびれたがその文庫本とはソニー・ロリンズばかり延々と書いている内容ではなく、適当なジャズミュージシャンについて書く、というものであった。ちなみにパート1はもうすでに死んでいるミュージシャンで、パート2は生きているミュージシャンを取り上げていたが、もう死んでいるのも中には混ざっていたかもしれない。どちらにせよ私が最後にそれを読んだのはもう10年は前のことなので、その間に死んだミュージシャンもたくさんいるだろう、ジャズに限らず。

ところで肝心のソニー・ロリンズであるが、その昔、ソニー・ロリンズが来日するという情報を得て、観に行きたいと思い会社の先輩の中に最近ジャズを聴き始めたんだよね、と言っていた人がいたので思い切って誘ってみて、チケットを取ろうと思ったらとっくに売り切れていた。その頃の私はソニー・ロリンズの人気っぷりなど全くわかっていなかったのである。チケット売り切れちゃいました、とその先輩に電話すると、
「仕事が遅いよ」
と言われた。今思うとその職場は少し変で、仕事よりも仕事以外で怒られることの方が多かったのである。ちなみに、その先輩は、先輩、と書くと20代後半から30代のようなイメージだが、もしそのようなイメージを抱いてしまったら申し訳ないが、少なくとも40は超えていて、禿げていた。独身の上に実家暮らしで両親も健在であり、いつか私の事務所に来たときに朝からトイレに入ったら
「おーい、紙がないよう」
と大声で言ってくるような豪胆なひとであった。お金持ちなのでしょっちゅう海外に行き、現地妻がいるのではないかと私たちは噂したのであった。今思うとその職場は、すでに私はもうそこを辞めていたが、なかなか金持ちの多い職場だったと記憶する。

それから今日は美容院へ行き、その美容院は国道を右斜めに折れると結婚式場があってその先には裁判所があってそこを曲がり、高校のグラウンドを超えたところにある美容院である。細い道もあり、また店自体も小さいので私はいつも途中で道を間違えるのだが、今日はナビ通りにたどり着くことができた。そこでは明日社長がくるから今よりも暗い色にしてくださいと私は頼み、私はなんだか意気地なしの不良のような気分であったが、さらに頭を洗ってもらっているときに、私は無意識のうちに手をグーにして力を入れており、どうしてこんなに力を入れているのかと考えたら、それは歯医者にいるときと似ている状態だからということに、やがて気づいた。それがとても面白い発見に思えたので、体を起こされたときにすぐに美容師に報告しようとしたら、
「よかったら顔を拭いてください」
とタオルを渡された。そのタオルはてっきり熱々のものだと思ったら(なにせ夏の終わりでもう涼しい)ひんやりと冷たくて、美容師はすこし頭を冷やせ、と言いたかったのかもしれない。それから頭を洗う洗面台等は、タカラというメーカーのほぼ独占市場なんですよ、と教えてくれた。