意味をあたえる

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方丈記のうた

私はすでに家に帰っているわけだが、帰り道ではプリウスの後ろを走っていて、ブレーキランプが何に見えるかと考えていたら、半袖に見えてきた。しかしこれを半袖とするならば、この人は随分かっぷくの良い人だ。デブだからこう寒くても半袖なんだろうと解釈した。

そんな車内で、私は方丈記のうたの練習をしていた。方丈記のうたとは、私は毎朝Eテレを見ていると、にほんごであそぼ、という番組がやっていて、そこで流れている歌なのである。今「歌」と漢字で書いたから、「方丈記のうた」というのは幼児向けに平仮名でつけられたタイトルだと思われそうだが、これは私の勝手につけたタイトルである。ともかく内容はあの方丈記である。私は確か中学生のときに暗記させられた、鎌倉時代のやつ。

私は当時方丈記にハマったとかそういうのではなかったが、毎朝歌が流れる度に一緒にうたって覚えようとしている。動画が上がっていれば良いのだが、探してもなかった。だから、毎朝歌が始まると、全神経を集中して画面に食らいつくのである。私は子供時代にこうしてアニメの歌を一生懸命覚えたことを思い出した。私はこういう子供っぽいことが突然したくなったのかもしれない。しかし、当のリアルタイム子供である私の子供は、
「聞こえないから黙ってて」
と言ってくるのである。彼女はやがて中学生になって、教科書に方丈記が出てきたときても、これがあの方丈記だとは思わないだろう。そうしたら私はドヤ顔で今日の帰りに練習したこの歌を歌って聞かせるのである。が、私自身が覚えている自信もないのである。

ところで私の子供の時は、九九の歌というのもあって、これは確か祖母にカセットでもらったのである。これをアンテナがへし折れたラジカセで流し、それは本当にラジオ体操を流すのにぴったりなデザインのやつたが、そうして、九九の歌は覚えられた。しかし、実際の九九がそれで覚えられたわけではなく、授業で九九が出てくると、また一から覚えなければならなくなり、念仏みたいに唱えるのである。

ある日八の段まで来たときに先生が出張で休み、自習となったのだが、みんなはおしゃべりをしていたが、私はみんなの注目を集めたくて、教科書を大声で読み始めた。そうすると八の段の 
「8×8=64」
のところは、「はっぱろくじゅうよん」
と読むからみんなは葉っぱみたいだと笑った。そうしたら杉山くんが、
「真面目に読んでいるのになんで笑うんだよ」
と怒りだし、それからみんなは真面目に自習をするようになりましたとさ。しかし、私はそれほど真面目ではなかったのである。