意味をあたえる

文章としかいいようがない fktack@yahoo.co.jp

鼻毛

朝一番(9時)に歯医者を予約してあったので歯医者へ行き、そうしたら私よりも早く来ている人がいて、その人はこの後私がコンビニに行ってそこにいたレジの人と同じ名前だったから私は
「偶然だな」
と思った。歯医者の後にコンビニに行き、そうしたら鼻の穴がむずむずするなあと、実は昨日くらいから思っていて、車のミラーで確認したら、鼻毛が生えていた。鼻毛が生えるのは老若男女同じなので詳しく書くと、両穴の内側から外に数本飛び出ていた。ふだんの表情ならまず気づかれることはないが、大げさな笑いをすればわかってしまうかもしれない。私は愛想がいい方なので注意が必要だ。鼻の穴の内側とは鼻毛にとってみれば安全地帯で、鼻の穴をよくよく見ると、飛び出ている人は多い。私の以前の上司なんかも、仕事の真面目な話をしているときに、ふと鼻に目をやると、芝生みたいにごっそり生えていたから私は
「中年だな」
と思った。私は春から少し立場が上がってしまったから、鼻を注目される機会も増えたから注意しなければならない。いちばん手っ取り早いのは鼻毛どうこうよりも、早く失敗でもなんでもやらかして、元鞘におさまることである。しかし「元鞘」におさまるには、かなり絶妙な失敗をやらかさないと、さらに過酷な部署に追いやられることになる。噂の噂ではそういう話もあるらしい。私が一体何をしたってんだ。営業所の所長は鼻毛の手入れは行き届いていそうだが、細かい男だから嫌だ。あととつぜんキレ出す。これは私が怒られたわけではないが、よく建物の外に、水道の元栓があって、そこだけ蓋がしてあって、開けるとちょっとへこんだぶぶんにコックがあって、その周りは土だったりするじゃないですか。あるとき蓋が外れていたのかそこに雑草がもっさり生えていて、所長はそのことにとつぜんキレだし、
「今すぐ抜いとけ!」
と私の先輩を怒鳴った。私もそばにいたから
「なんて理不尽なんだ」
と思いながら、この土のぶぶんに肥料でもやって、丈夫な雑草にしたいなあとか思った。

それでこの所長という人はとにかく雑草嫌いらしく、もしくは大好きで、連休前には一日じゅう建物のまわりの雑草を引っこ抜いてそれを透明のゴミ袋に入れてゴミ袋は4袋くらいになって、私はそんなことにはまるで気づかず、夕方になってやたらとおでこの汗を拭って疲れたアピールしてきたのでなんだろう、と思ったら窓の外に雑草のつまったゴミ袋が射殺された豚のように腹を横たえていた。私は最近仕事でVBAをやるようになったので、VBAの良いところは、画面に向かっているだけで、周りには忙しそうに見えるところなので、私はわざと眉間に皺を寄せ、変数のありかを追っている振りをしたら、後輩が
「おい、袋持つの手伝ってくれ」
と言われていた。袋、とか、傑作なんですけど。

実は私は少し前にエチケットカッターを買い、昨日カットしたばかりだったから、それなのに鼻毛が見えるところに飛び出るのはおかしいと思い、私の使い方がいけないのか、カッターが不良品なのか、刃がダメになったのか、確かに開けてみると、中が汚れていることもあるから、手入れはこまめに行わなければならない。