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意味をあたえる

文章としかいいようがない fktack@yahoo.co.jp

死んだ人が出てくる夢

私には死んだ先輩と死んでない先輩がいて、それらが夢に出てきた。居酒屋のような場所にいた。もう記憶とごっちゃになってしまったからこれが夢の話なのか不明瞭なのだが座敷であった。そこで二人は私の向かいに座り、死んでない方がトイレに行くんだかで立ち上がると背中というか腰にのところに汗染みができていて死んだ方がからかった。死んでない方は太っていてよくジーンズ色のシャツをジーパンにインして着ていたが、仕事が終わったり飲みに行ったりするとそれをズボンから出した。そのしわくちゃになった裾の少し上に汗染みができていて、死んだ方が
「太りすぎだよー」
とからかっていたのである。彼らは年齢は同じだったが職場のキャリアでは死んでないほうが長く、しかし私のいた事務所では死んだ方が長かったから、つまり互角だった。私は彼らに対して息子のような立場をとることもあった。私は若く、怖いもの知らずなところもあり、さらにそれを自覚していた。死んだ人は霊感もあり、あるとき一緒に飲んでいたらさっきとは別の死んでない先輩に
「最近女をひどい振り方した?」
と出し抜けに言い出し、理由を聞くとその人をものすごい形相で睨む女の姿が見えると言う。言われた方は
「いないですねー」
とけろっとしている。この死んでない方は死んだ人からしたらやや後輩なので一応敬語を使っていた。私は私を睨む女がいなくて良かったと思った。さっきは怖いもの知らずと言ったがそれは嘘で、私に怖いものはたくさんあった。

死んだ先輩が死んで私と死んでない先輩は周りに随分噂をされたが、直接言われたわけでもなかったから平気だった。しかし直接言われればこっちも申し開きができるし、私の論理は完璧だったから、私たちが悪くないと説得できる自信はあった。しかしそういう人は身内にはおらず、仕方がないのであるとききた社労士に愚痴を言ったりした。この人は禿げていて気のいい人だったが臆面もなく
「僕は弱い人の味方なんだよね」
とか言うぶぶんが気にくわなかった。この人の弱い、と私の弱い、はなんとなくニュアンスが違った。しかし決定的に悪い人ではなかった。その頃死んだ先輩の叔父という人が、私たち以外に怪文書みたいなのを送りつけ、それを偶然私は手に入れたが実際は怪文書ではなく(死の真相を教えてくれ)的なやつだった。私はまったくすっとぼけてその怪文書を手に入れたが、私宛のメッセージに
「貴方も気をつけなさい」
と書いてあった。死んでない人のことは随分悪く書いてあった。

もう十年以上前の話だが、案外おぼえている。歴代の会社の同僚などどこまでおぼえているか試したら、思っている以上におぼえていた。私はおぼえるマシーン(忘れないマシーン)だ。