意味をあたえる

文章としかいいようがない fktack@yahoo.co.jp

仕事の優先順位をつける能力

私が20代のころに働いていた職場では、三人しかいない部署で、私は最初はもちろんいちばん下っ端だったが、一年と少ししたら、上から二番目になった。やめるまでそのポジションだった。そのとき後輩だった人は女で、後輩だったが私より年は上で30代だった。

その人は私の後輩になる前は某住宅メーカーと某飲料品メーカーに勤めていて、いずれも契約社員だった。それはいいとして、この人が仕事の順位付けができない人で、私と上司は大変手を焼いた。先入れ先出し方というのがあるが、彼女の仕事ぶりはまさにそれで、仕事が発生した順に片づけていく。例えば発生した順に期限が並んでやってくるのならそれでもいいが、人相手の仕事でもあったので、例えばBさんがなんとかなんとかを持ってきたら、書類をつくる、なんてこともあって、仕事のスケジュールがリアルタイムで変化していく。だから仕事が山積みだけど暇、という場合もあれば逆もある。

こちらとしては急ぎのものを最優先してほしい、というのがある。最終的に間に合えばいいでしょ? というのが向こうの主張だが、いくら間に合ってもギリギリで仕上げてミスがあっても仕方ない。また、忙しいと言って不機嫌にされてもムカつく。その忙しさは見かけ上の忙しさなのである。また、実際に間に合わないこともあったし、間に合わなそうなので手伝うこともあった。

そういうスケジューリングの大切さを説けばいいのだが、最後までそれができなかった。上司ができないんだから、私なんてもっと歯が立たない。私は年が下だったから、彼女に見下されていたように思う。被害妄想かもしれないが。しかし、私から見て、彼女より10歳近く上の上司も見下されていた。

そうなるとどうなってしまうかと言えば、こちらからは無難な仕事しか振らなくなってしまう。重要度が低くて、時間がかかるようなやつがベストである。そしてやってもらったら、
「助かったよー」
とお礼を言う。お礼を言われて悪い気になる人はいない。

以上のことは、もう10年近く前の日常だったが、最近になって、また周りで「順位付け」のできない人が目に付くようになった。勝手な判断だが、そういう人は大抵せっかちな性格である。そして、保留のストレスに耐えられない。たとえ一ミリでも、ゴールに近づけたいと考えている。私にはそういう発想が理解できない。例えば
「1日1メートル進めます。ただし1日待てば2メートル1センチ進めます」
という条件の場合、私は間違いなく後者を選択するからだ。