意味をあたえる

文章としかいいようがない fktack@yahoo.co.jp

途中式(キース・ジャレット)

私のとっての音楽とはキースジャレットでありそれもソロでバッハの曲を弾いているやつである 何においても過分な世の中でひとつの楽器の音だけを追っていられるのは癒しである そういえば村上春樹ポートレートインジャズでオスカーピーターソンの演奏について「鍋焼きうどん」と例えていたが初めてCDのサテンドールを聞いたときになるほどと思った くどいなあと思った キースジャレットを聞きながら天井の木目を眺めているとそれが段々と川の流れに見えてきて落ち着いた 私はここのところ脳が腫れぼったくて仕方がない 私はよく趣味について考えるが他人に趣味を聞かれたときに「キースジャレットを聞きながら天井の木目を眺めることです」とか言うのだろうか ほとんどの人はキースジャレットなんてわからないだろう この前初対面の人に趣味を聞かれて読書ですと答えたら何を読むのですかと聞かれ「最近ガルシアマルケスの族長の秋を読み始めました」と言ってもガルシアマルケスなんて誰もわからずわからないくせに「どんな内容ですか」と聞くからだから読み始めたばかりなんだってと思ったが辛抱強く百年の孤独について一族の世代が続く話ですと言ったらミステリーですかと言うからまあそんなところですと答えた 私としては赤ん坊の死体を虫が運んでいってしまう話ですよと言いたかったが果たして私も内容をずいぶん忘れてしまったから虫だったのかネズミだったのかはっきりしない赤ん坊じゃなくて小さい子だったかもしれない 族長の秋は昨日何ページか読んだので今聞かれたら大統領が主人公で改行がまったくない話ですと答えられる