意味をあたえる

文章としかいいようがない fktack@yahoo.co.jp

どうして同じ曲に聞こえてしまうのか

最近YOASOBIを聴くのだが、どうしてこうも似たような曲ばかりなのだろうと首を傾げてしまう。私はコード進行とかわからないからこの場合は構成とかそういうのである。年をとったからと言えばそれまでだけど、どうしてみんなは同じように感じないのかが不思議だ。それならば聞かなければいいのにという意見があってそれはもっともだが、子供がシャッフルしまくって車の中で音楽をかけるとき「お、これは」と思うと決まってYOASOBIなのである。私はこういう系統が好きなのだろう。それじゃあと思ってアルバムを聞くとなんか似たのばかりだな、となってしまう。


実はKing Gnuを初めて聞いたときも「どうして同じ曲ばかりが続くんだろう」と気味が悪くなってしまった。厳密には同じではないけれど、同じ曲が早くなったりちょっと遅くなったりくらいの違いしかわからなくて、どんだけこのグループは楽をしているんだ、と思ってしまった。しかし何度も再生するうちにだんだんととっかかりのようなものがわかってきて、曲の区別がつくようになってきた。そうすると私の「どうして」は「どうして手が二本の人間ばかりなんだろう」というのと同じ種類に見えてくる。音楽を楽しむのにも辛抱強さが必要なのだ。


じゃあ何も辛抱などせずに若いときに聞いた曲を聞けばいいじゃないですか、という疑問もあるがこっちはもっと飽きちゃったのである。というか忘れてしまった曲もある。若い頃これは私の主題歌だと歌詞を丸暗記した曲もいつのまにか空で歌えなくなってしまった。人生は思っているよりもずっと長いのだ。当時ものすごく盛り上がった曲でも「こんなに薄っぺらかったのか!」と逆の衝撃を受けることもある。昔のドリフのDVDが初めて出て、テレビで紹介されたとき、幼い頃呼吸困難になるほど笑ったコントがちっとも笑えなくて悲しくなった例もある。リバイバルなんてクソ食らえと思ったものである。だから聞いたことのなかった音楽を聞くしかないのである。