意味をあたえる

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芥川賞

昨日の「アメトーーク」というテレビで、読者芸人というのがやっていて、ああ、観れば良かった、と思った。前回の時は、Twitterのフォロワーが教えてくれて、途中から観た。そのアカウントはまだ残っている。教えてくれたアカウントはどうだろうか。少し不安定な女性で、
「わたしなんて、生まれてきて、云々」
みないなツイートを定期的にしていてたが、ある日突然結婚したから私は「おーーい!」て突っ込み入れたい気分になった。そんな人が、
「弓岡さん、テレビ点けて。読者芸人、めっちゃウケますよ」
と教えてくれた。私を読者好きの人、と認識してくれていたようだ。私自身はあまり本を読む方だとは思ってないが、「自分はあんまし本を読まないんです」と主張する人はけっこういるから、あまりあてにならない。

定期的に読んでいるあみーごさんのブログで、各芸人のオススメの本がまとめられていて、私はそもそも昨日が読者芸人、ということをこのブログで知ったのだが、そうしたら又吉直樹と、オススメが2冊もかぶってしまった。1冊は山下澄人で、私は2015年現在生涯ナンバーワン小説家が山下澄人なので、この名前が出て大変嬉しい。私はぜひ、私以外の人が発する「山下澄人」という発音を聴いてみたかった。と思ったらYouTubeで、保坂和志と対談していて、保坂和志
「山下、山下」
と気安く呼ぶのを耳にしていたので初めてではなかった。しかし、テレビだったら初めてだ。もしかしたら、テロップだけで、コメントはなかったのかもしれない。それでも、テレビ画面に映る「山下澄人」という文字を見たかった。

もうひとりが、今村夏子という人で、私はこんなマイナーな小説家をよくぞ、と思った。「こちらあみ子」という小説だが、彼女の著書はこれしかない。この話で太宰治賞をとってデビューしたのだが、私はとても面白かったので、次の著書はいつか、いつか、と待っていたら、ある時ネットで検索したら、賞のあとのインタビューで、
「わたしは小説家でやっていく気ないです」
と答えていたので、この人は小説家ではなかった。非常に残念だ。文体だけでなくストーリーもハラハラして面白く、会社の同僚のあまり本を読まない人が、
「弓岡くんはよく本を読んでいるけど、なにかオススメある?」
といわれてこの本を貸したら、最後まで読んだから、あまり読み慣れていない人でも楽しめる。

こんな感じだったので、私の午前中はテンションが高く、それはあみーごさんのブログでは3人の芸人が登場したが、その中のたったひとりの、その中で2冊かぶった、というのが尚更嬉しかった。さっき読み返したら、3人とも「西加奈子」という作家を挙げていて、そういえば他の人のブログでもよく目にするが、私は読んだことがない。だけど、こうやって万人に勧められてしまうと、一気に興味をなくすのが私の性なのである。

私はいよいよ又吉直樹の著書を読むべきか? と思い、後輩にも
「火花、買っちゃいます?」
と言われたが、ちょうどそのときラジオで又吉直樹の著書が芥川賞の候補になったことを言っていて、このままもし受賞なんてなったら、私が芥川賞作家ばかり読んでいるミーハーなやつと思われそうだから、ちょっと怯んでしまった。

どうしていまだに芥川賞があんなにもてはやされるのかよくわからないが、他にも三島賞と、もうひとつ名前忘れたけど同じランクの賞があって、どれも同じなのである。しかし、芥川賞だけがテレビに写るから、知らない人が見るとノーベル賞と同じに見えてしまうが、以前三田誠広の著書を読んだら、
芥川賞は甲子園優勝くらいのすごさ」
と表現していて、つまり、それは確かにすごいけれど、必ずプロになれるわけではない。直木賞はまた違うけれど、何に例えられていたかは忘れた。甲子園優勝は確かにすごいけれど、山下澄人もなんどか候補になっていて、私はそのとき選評を読んだら、ひとりの委員が「謎解きに無理のある箇所があって」みたいなことを言っていて、私はどうしてこんな小説のことが何もわからない人が選考委員をやっているのか、不思議に思った。確かに山下澄人の「ぎっちょん」は章のタイトルが、ちょっとした謎解きのようになっていて、最初私はそのアイデアに感心したが、それはただのオマケに過ぎない。山下澄人のすごさは、誰が決めたわけでもないのに勝手につくられた「小説」の作法、とかルール、をいとも簡単に乗り越えていける力で、例えば、思い切りシュールな話とか辻褄合わない出来事を考えると、たいていの人は「あれは夢でした」みたいに処理してしまうのだが、山下澄人の場合は「実は夢じゃありません」とやってのけてしまう。おそらく前述の選考委員は、そういう凄さが理解できずに、
「奇をてらっている」
みたいな解釈をするのだろうが。

※あみーごさんのブログはこちらです。


※小説「余生」第15話を公開しました。
余生(15) - 余生