その道は比較的新しい道で、周囲にはまだ何もなく、実際は畑とか田んぼがあるのだが、道と畑の間には雑草が茂っていて、ゴミはその中に落ちた。そしてそれから今度は空のペットボトルが投げ捨てられた。それはまるであくまで故意であるとアピールするかのように勢い良く窓を飛び出し、割と遠くのほうの草むらに吸い込まれた。その瞬間を私は見ていたわけだが、コーラのペットボトルは西日を反射して、とてもきれいだった。嘘だ。本当は今日は大気の状態が不安定であり、実際に雨も降って雷も鳴ったと、娘たちが教えてくれた。私の会社では雨は全く降らなかった。
下の娘は雷が酷いということで、同じ班のお母さんが子供を車で迎えにきて、一緒に乗って帰ってきたそうだ。しかし義母が途中まで迎えに来ていたので、娘は途中で降ろされた。
ところで車から捨てられたゴミを見ながら、私は小学生の頃、夏休みの行事のひとつのゴミ拾いのことを思い出した。それは夏だったので朝早く行われ、詳しい時間は忘れたが、親からしたら起きるのに辛い時間だったのではないか。私はまだ子供だったので、起きることは苦でなかった。私は沢山のゴミを拾ってやろうと思っていたので、わくわくしていた。しかしそういう素振りは見せなかった。
坂の下に公民館はあり、そこでゴミの収集をしていたので、そこまでのゴミを拾うことになっていて、私と母と隣の家のおばさんは、ビニール袋を持って手に軍手をはめて出かけた。公民館まで至る道はまだ舗装されていなくて、私の裏を走る国道も、まだ片道2車線にはなっていなかった。私はとても沢山のゴミを拾う自分を想像していたが、実際は桑畑の横にぺちゃんこに潰れたポカリスエットの缶がひとつと、あとは泥のついたビニールがいくつかあっただけだった。泥がついていたら、もうそれはゴミではないような気がした。
そして、公民館の庭にはゴミの種類ごとのコンテナがあって、その前に中年の男の人がいたので、拾ったゴミを渡し、お礼として私はオレンジジュースをもらった。私はそれを家に帰ってから飲むことにし、帰り道では少しずつ蝉が鳴きはじめ、桑の葉の裏に蝉の抜け殻がついていることを隣のおばさんが教えてくれ、少しずつ背中がじりじりと暑くなる時間だった。家では妹がちょうど起きたところで泣いていて、私はオレンジジュースを半分分けてあげた。もし私がゴミを沢山拾うことができたら、オレンジジュースは独り占めしただろう。
シルバーのワゴンRには、もっと沢山のゴミを捨てて欲しいと思った。