2(こんな夢の中身)私は高校サッカーを見ている。スコアは12対5であった。前半か後半かはわからないが、前半だったかもしれない。するといきなり、勝っているチームのほうの5人が、ゴールの脇で制服に着替え始め、制服はブレザーであった。ユニフォームの上に直接羽織ったから、ワイシャツの胸元に、ユニフォームの赤だか黄色だかが見えた、私はユニフォームの色を思い出せない。5人のうち1人は、頭にパーマをあてていて、私の知り合いに似ていた。そして着替えが終わると、「ふるさと」を歌い始めた。おそらく3番まで歌った。ゲームは結構な時間中断した。私は「これはまずいんじゃないかな」と思っていたら、やはり5人全員が一発レッドで、退場となった。私は、大量リードで余裕なんだな、と思った。しかし、いくら現実離れした点差とは言え、5人も退場したらすぐに追いつかれ、逆転してしまうのではないかと心配した。そういう場面を、私は実家のテレビで見ていた。私は、最初来たとき、玄関に届け物が置いてあって、だから留守なのかと思ったら父がいて、私は父に「宅急便が来ている」と教えてあげた。差出人のところの名前は、私のよく知っている人のような気がしたが、私は思い出せない。茶の間で、父は随分とストーブに近い位置でテレビを観ていた。ストーブは石油ストーブで、電池で着火するタイプだった。父はそこに、ほとんど右耳をつけるようにしていた。ストーブには火がついていて、火力は最大なのか、火が筒の先から飛び出してゆらゆらしている。私は父が火傷するのではないかと心配になり、また火力をゆるめることもしないから、父はボケてしまったのではないかと思った。そうするとこれは未来の話ではないかと考え目が覚めた。
3最近、「あなたの夢はカラーですか? 白黒ですか?」というのを見かけて、私は考えてみたのだが、私にはわからなかった。私の夢はカラーでも白黒でもなく文字なのかもしれない。先ほど書きながら、サッカーチームのユニフォームの色はわからないのに、審判のレッドカードはすぐ判別ができたことに気づいたが、これは退場という行為から導かれたのであって、赤いカードが目に焼きついたわけではない。夢というのは当たり前だけど、現実に見たり聞いたりできるものではなく、思考か想像である。だから思考と想像とは、そもそも映像なのか音なのか文字なのか、という話にもなるのだが、多分それは人によって様々だ、ということになりそうだ。私はおそらく文字だ。しかし、いつもそうだけど、今日も夢のことを書いているうちに、それが実際見た夢からどんどん乖離していってしまう。それは夢に限らず、こうやって文章を書くときも「書こう」と考えたことは、文字にすると最初考えた通りには書けない。もし思考が文字なら、それを写せばいいだけの話なのに。
4そう考えると思考とは文字と見せかけて、実は感情なのではないか。私たちの思考は、脳神経に電気が流れて行われると、聞くが、その電気の流れる感触というか、流れにくさや、辿るコースの複雑さなどが、ある感情(文字)を呼び起こし、呼び起こすのも電気で、つまり同時進行で色んな回路が関連しあって、文字は連なるのではないか。
5だが、それとは全く別に、別というのは今の電気の話と別という意味だが、思考とはやはり文字で、なぜ文字を起こせないのかと言えば、ここで書いているのは文章だからで、つまり文字と文章は全くの別物ということである、というのを書きながら突如思った。そして、文章とは、書こうと思っていた対象を忘れさせる、あるいは対象に抱いた感情を消させる力を持っている。コンピューターに例えると、どこかのメモリが解放されるようなイメージだ。