意味をあたえる

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アダムスタウン

昨日シキミがiPad上でアダムスタウンという町を発見した。発見した、というのはそのときは朝だったが、シキミが
「こんばんは」
と言ってきて、それはギャグだったが私は
「そう挨拶をしても不自然でない国もある」
と返してぶち壊した。そういえばマイケル・ギルモアの「心臓をつらぬかれて」を読んだとき、長男が手品の才能を発揮し、みんなの前で披露したら父親も実は元サーカス団員かなにかの筋金入りのプロで、長男の前でガチのやつを披露し、長男の夢をぶち壊した。この話はノンフィクションで、ギルモア家は四兄弟で次男が殺人犯で三男も死に、今の長男も行方知れずとなった。残った四男がこの呪われた血を断ち切ろうと、頑なに子孫を残すことを拒否し、そして本を書いた。それは親の親の代の、さらにはその親くらいからの話で、アメリカの入植時代から始まる話で、つまり次男は殺人犯だが、その頃にすでにそうなる種は蒔かれた、という風な事件、出来事がどんどん起きてくる。インディアンの幽霊なんかも出てくる。次男のゲイリーが生まれたときもそれが出てきて連れ去ろうとするのを母が必死で止めた、というエピソードもあった。いくぶんオカルトじみていた。しかしそれらはすべて実際に起こったことだった。

私が記憶に残っているのは上記の長男が手品で父に恥をかかされるエピソードと、あとは一家が幽霊から追われるように引っ越しを繰り返した何軒目かの家が、玄関の前に堀があり、それがなんとなく「となりのトトロ」のさつきとメイの家に似ているな、と思ったぶぶんだ。今思い出したらさつきとメイの家には掘りなどなく、玄関から天井のない洞穴みたいなところを降りていくとやがて道に出るみたいな構造だったから全然違う。だけど読んでいる最中は「似ている」と思った。それはどちらかと言えば私の父の実家に似ていて、父の実家の通り沿いには水の通っていない大きめの側溝があり、橋代わりに鉄板を置いていた。鉄板はトランポリンみたいにぼよんぼよんした。

要は地球は球体だからすべての国が同時に朝ということはありえないという話で、それを実感させるためにiPadの世界時計を出し、そこから日付変更線を導き出そうとしたのである。シキミは最初は乗り気ではなかったが、だんだんと乗り気になった。ランダムに都市を選び、限界まで時計を追加していった。世界地図に地名があふれた。その中にアダムスタウンがあった。

アダムスタウンとは、ピトケアン諸島の首都でイギリスの領土で、場所はハワイの南、ニュージーランドの東、といった位置にある。人口はたった56人しか住んでいない。「世界が100人の村だったら」とか目じゃない世界である。詳しくはwikiを読んでください。元はイギリスの軍艦で反乱を起こした人たちが発見し、住み始めた島で、今住んでいるのもそれらの人たちの子孫である。それで住み着いたあとも殺し合いがあったりして男一人になったときもあったが、聖書に助けを求めて今は平和に暮らしている。映画にもなった。

ところが最近になって少女性的暴行事件が発覚し、それで男6人くらいが容疑者となり、その中には島の代表者もいて、つまり暴行事件は大変罪が重いが、彼らを全員収監しては島が成り立たなくなるので、彼らの罪は軽くなった。犯罪というよりも、風習に近く、そのため被害者とされる女性たちも裁判に反対したりした。

島には弁護士などはいないのでニュージーランドから長い時間をかけて、やってきた。また刑務所もなかったので、そのために建てられた。というのがなんだかおかしかった。

しかし、別で書かれているものを要約して書いていく作業の、なんと退屈なものよ。