意味をあたえる

文章としかいいようがない fktack@yahoo.co.jp

寿司屋でレッチリが

回転寿司店に行ったらレッチリがかかっていて、ミスマッチだと思った。しかし確かレッチリには「カリフォルニケイション」というアルバムがあるから、カリフォルニアロールつながりで縁が深いかも、と思った。その寿司店にもカリフォルニアロールがメニューにあった。私は生涯で一度か二度カリフォルニアロールを食べた気がするが、どういう印象を持ったかよくおぼえていない。カリフォルニアロールが寿司なのかどうなのかという議論があるが、回転寿司店はなんでもござれなので、カリフォルニアロールなんてむしろ正当な部類にはいる。天ぷらも焼き肉もなんでも一塊の米上に載せられ、あるいは遠心力で落ちている。小学生の私の子供が、
「握りが甘いなあ」
なんて言ったりする。ソバや丼やコーヒーなどもある。

高校の夏休みの宿題で、グループで博物館に行き、レポートにまとめるというのがあった。友達達と電車を乗り継いで山の中の博物館に行き、そこは小学生のころにも行ったことがあるから懐かしかった。川のそばにあった。道すがらにそば屋があったので入り、私たちはそばを食べた。ひとりがカツ重を頼み、そば屋でカツ丼とかどうかしているんじゃないかと思った。店の人も当たり前のように運んでくる。きっとそば嫌いな人が頼むためのもので、片手間で作られるものだろう。鰻屋の天重のようなものだ。後日ふたたび集まってレポートにまとめるということになり、私は真面目にやる気がなかったので「お楽しみページ」を担当することにし、そこに当日の昼にみんなが何を食べたか書き込んだ。カツ重はカツ重である。お楽しみページには他にも博物館のあとにカラオケに行った写真を載せたりした。私の高校にはそばにカラオケがあったから、しょっちゅうそこに入り浸っていた。ちょうどフリータイムのような、カラオケが安くなってきた時期だった。それまでは二時間いくらとか、もっとひどいと一曲100円というところもあった。曲ごとに値段があったらおいそれと曲の予約なんてできないし、間違って他人の歌をとちゅうで演奏停止なんてやったら、殴り合いのケンカになりかねない。私たちのよく行くカラオケは元ラブホテルではないか、という噂がしばしば流れたが、地元の女の子が
「ラブホテルじゃなく、ビジネスホテルだ」
と全力で否定していたから逆に怪しかった。私たちは誰もラブホテルに行ったことがなかったから、ラブホテルとビジネスホテルの違いはよくわからなかった。確かにカラオケっぽいかんじではなかった。

レポートを提出すると教師は、
「あそこのお蕎麦屋さんは、カツ重がおいしいんだよねー」
とカツ重に食いついたから私は「マジかよ」と思った。生徒に行かせるだけあって、教師はその町のことは知り尽くしていたのである。卒業するときの文集に教師のインタビューのページがあり、そこの「好きな食べ物」の欄に「うどん」とあったから、単にそばが嫌いなだけなのかもしれない。