意味をあたえる

文章としかいいようがない fktack@yahoo.co.jp

バックトゥザ日常

3日間の旅行が終わる。見たことなどを書く。

・神社に行くと中年というか初老の夫婦が本殿の門の前で写真を撮っている。男のほうが階段の下にいてエントリーモデルのデジカメを構えていて最初階段の上にいた女のほうは端に避けていたが男が大きく手を真横に振りお前も入れというジェスチャーで女にファインダーにおさまるよう指示した。ところで女のほうは足が不自由で杖をついて歩いていて夫の視線から外れるときも夫の大ぶりの手のアクションで再び視線に復帰するときも杖を前後に大仰に振りながら難儀そうに歩いた。そして真ん中まで来ていざ撮影という段になると杖をさっとお尻の後ろに隠した。夫が杖を隠すのを確認してシャッターを切るわけではないことは妻の素早い動作でわかった。


私はその様子を端の端のこま犬の影から見ていた。別に盗み見しようという魂胆ではなく午前にも関わらず異様な暑さだったから少しでも涼しい場所を探していたのだ。私は妻がご朱印帳を受け取るのをじっと待っていたのである。右のこま犬よりも左のこま犬のほうが涼しい気がするというとみんながやってきた。みんなとは私の父母と子供たちである。みんな私の一親等におさまった。子は二親等かしら? 左右のこま犬で涼しさが異なるなんてナンセンスだと下の子が言ったが母が「気がするんならそっちのほうがいい」と反論しみんながやってきた。とにかく何にでもすがりたくなる暑さだった。こま犬の足元には小銭が供えられていた。そういえば私は初日にガムを踏んでいたらしく靴を履き替えるときにふと靴裏をみたら一箇所だけ異様に砂利がくっついていてすぐにガムを踏んだんだと気づいた。こま犬の台座がちょうど角張った石だったのでガムと砂利をこすげ落とそうとすると子供に「罰当たりだからやめなさい」と注意された。上の子だった。仕方がないからもっと端の手すりの根元でいくらか落とした。父母と下の子はお土産を買いに先に行ってしまった。


・意識の高い土産物屋の店員というのがいて客が
「これの一回り小さいコップはありますか?」
と訊ねているのにこれが指すコップがどういう目的で作られどこが他の類似品とは違ってオリジナルなのかをひたすらアピールしてばかりで質問にまったく答えようとしない。客のほうも「ああ訊くんじゃなかった」みたいな顔をしているが案外旅の思い出になったのかもしれない。私はうんざりするが。自分の言いたいことに終始する人はどこにでもいるが一応店員と客という配役が決定されたゾーンにいるのだからもう少し聞く耳を持ってもいい気がする。翻ってブログもどこが他とは違うのかどのあたりがレア情報なのかのアピールに力を入れすぎると読むほうは疲れてしまう。