意味をあたえる

文章としかいいようがない fktack@yahoo.co.jp

途中式(15)

帰りは鴨下さんの会議が長引いたのでギリギリになった 鴨下さんは別部署でのん気にミーティングなぞやっていた 私たちはとっくに終わって休憩室で鴨下さんを待っていた 「給水所」という貼り紙があるから何かと思ったらクーラーボックスに水筒が入っていた ここも大阪の水である 


結局ギリギリになって鴨下さんは戻ってきてお土産を買う暇もなかった もっともギリギリなのは鴨下さんだけなのである 彼は深谷の方に住んでいた せめて遠出した気分になりたいのでひとりでビールを買った 暑さにやられたのか頭痛がするだけでうまくはなかった 仕方なく売り子のワゴンが通りかかると水を買った 鴨下さんが「せっかくのビールが薄くなる」と真顔で言った