意味をあたえる

文章としかいいようがない fktack@yahoo.co.jp

A LIFEが面白い

たまたま第一話と第二話(?)を見てしまったが、面白いと思った。二話の後にハテナがあるのは、いつも妻が録画したものを妻が視聴するときにたまたま同席した私が見るというスタイルで二話についても途中からなんとなく見たから果たして本当に二話かどうか疑わしい。一話は見るからに一話というかんじで、どこで判断するのかといえば、キムタクが日本にいないというぶぶんだ。ニューヨークから無理やり連れ戻され、というくだりが何かに似ていると思ったら舞上王太郎の「煙か土か食い物」だった。あれも手術の合間にナースと性行為に及んでいたら突如日本に呼び戻されるという冒頭だった。呼び戻された後に性行為、だったかもしれない。

とにかくそれが二話かどうかは判明しないが、逆に言えば特にストーリーのつながりを意識しなくても見られるということだ。見所は浅野忠信の演技で、浅野忠信はドラマの立ち位置ではおおざっぱにいうと悪なのだが、どこかコミカルで出てくる度に笑ってしまう。一話ではいきなりキムタクの活躍に嫉妬して壁にパンチして穴を開けてしまう。そこに偶然愛人の菜々緒がやってきて、
「穴開けたの?」
とまるでディーアイワイの推移の様子を見守る風な口をきく。浅野が惚れるのも無理はない。菜々緒は腕利きの弁護士なのだ。「こんな女と結婚したかった」と思ったに違いない。これは課長島耕作が大町久美子に出会って間もない頃に心の中でつぶやいたセリフで、シチュエーションは出先の帰りにタクシーを拾おうと手を上げた島に大町がいきなり腕を絡ませ(それは制止の動作だ)
「やめましょう。ここからなら電車のほうが早いです」
と提案するのである。その思い通りにならないかんじに、島は「結婚したかった」と思うのである。しかし今思うといきなり腕に絡むというボディコンタクトに単にスケベ心が出た末のセリフだったのかもしれない。

壁に穴を開けたのを菜々緒に見られた浅野は立つ瀬がなく、
「開いてたんだよ!」
とキレ出す。この少しどもったキレ方が浅野の持ち味である。浅野としては穴は最初から開いていたので、別の場所にかかっていた絵画を持ってきて見えなくするところに菜々緒がきた、というシチュエーションにしたかったが、キレたから台無しなのだが、浅野は菜々緒ではなく、本心では浅野本人に申し開きしたかったから、それはどうでもよかった。とにかくこのドラマは浅野が嫉妬にかられて壁を殴りまくるドラマだと私は思い、二話では水槽を破壊するのではとドキドキしながら見たが、水槽は無事だった。

私の妻はそんな浅野のことを「気持ち悪い」と評したが、私からしてみると竹内結子のカマトトぶりのほうがずっと気持ち悪い。木村と難手術を終えた直後に、
「私は小児科でもっとたくさんの子供の命を救いたいの」
とこの上ない爽やかな笑顔で木村に語りかけ、どれだけ今さっきの手術を手抜きしてたんだ、と視聴者に思わせる。そりゃ難問がクリアできれば嬉しい気持ちもあるだろうが、その前にヘトヘトになるのではないか。そう考えるとこれらの医師が勤める病院はいつでも医師が暇そうにしており、最新の設備を備えるというが、よほど悪評高い病院なのではないか。

私はA Lifeの他には2つドラマを見、ひとつは東京タラレバ娘で、これはありきたりでつまらなかった。もうひとつはカルテットで、こちらは主要な登場人物の掛け合いが面白く、私もそれに混ざりたいと思ったが、文学臭い演出が鼻につく。わざとらしく小道具を写して人物の心理を表すとか、いかにも古臭いからやめてほしい。しかしGパン刑事の息子(名前失念した)が会社の元同僚と性行為に及ぶシーンはエロいな、と思った。引っ越しの準備中のダンボールが積まれた室内で強引に事をすすめるのである。これもどこかで見たと思ったら課長島耕作で、島が離婚して一人暮らしの部屋に引っ越してきたときに、愛人の馬嶋典子がやってきて、ダンボール箱の部屋に典子が
「なんか、このダンボールばかりの部屋だと廃墟みたいで興奮する」
と突然島の上にまたがる、というのがあった。それから2人で事におよぶとあろうことか立て掛けてあったほうきがインターフォンのスイッチに当たり、2人の声が外に漏れてしまい、そこに偶然上司の引っ越しの手伝いに自主的に来た大町久美子の耳に入ってしまう。その後大町と島は本格的な恋人同士になるが、よくそういうのに遭遇してドン引きしなかったなあと思うが、よく考えたら現実にはもっとエグいパターンもある。