意味をあたえる

文章としかいいようがない fktack@yahoo.co.jp

凶悪

※今回の話は創作です。

いつものように会社へ行くと、午前中のラジオではゲスの極み乙女の曲が流れていて、私はゲスの極み乙女は私は結構好きなので、あまり人気が出てしまうのは好ましくないと思い、なぜそうなのかと言えば、どのバンドも売れてくると段々とげとげしさがなくなってしまうからだ。しかしこれは一般論でみんなもよく知っているから、わざわざ書く必要はなかった。その時の梱包当番はMさんで(あるいは逆で私はだったかも)「ゲスのっていい感じ?」と私に質問をしてきた。私は普段からゲスの極み乙女を流しながら仕事をしたりするので、Mさんは聞いてきたのだ。もしかしたらずっとこの質問がしたくて、ラジオからリクエストが流れるのをじっと待っていたのかもしれない。私の中でも、とても面白い、とっておきと言ってもいいくらいの話がある時でも、やはり唐突にはその話を出すわけにはいかないので、じっと自然とその話ができる流れになるのを待っていたりする。そして、その話はやがて忘れてしまう。私は、
「あー俺はいいと思いますよ、好きですね、俺は」と答えた。俺は、と2回も言ったのはあくまで個人の感想ですよと強調するためだ。
「もしアレならコピーしてきますよ」と言ったら、「じゃあ俺も最近良かった映画あったから持ってくるよ、「凶悪」ってやつ。それ返す時に入れてくれれば」ということになった。
それから翌日は私が、その翌日にはMさんが休みなのでMさんがSDカードを持ってきた。SDカードは15Gあったので、それなりに高価なのではないだろうか?と今書きながら思った。Mさんは映画を.m4vに変換して持ってくるので、PCでなければ見れない。それと、Mさんは「レイプのシーンとかあるから子供と見ない方がいいよ。あとリリー・フランキーのギャップがね、いいよ」と言っていた。私はその夜に久しぶりにPCを立ち上げて「凶悪」と、他に2本映画が入っていたので、コピーをし、コピー先は外付けのHDDにし、これは私のPCは古く、以前にハードディスクが壊れたことがあったので、その後こういうものはいつ壊れてもおかしくないので、外付けのものを購入したのだ。ちなみにこのハードディスクにはWebアクセス機能もあり、スマホとかからでもアクセス可能だ。しかし久しぶりにタブレットからアクセスし、件の映画を再生しようとすると「サーバに接続できません」と出た。ルータを再起動したりホスト名を入れ直したりしたがうまくいかなかったが、少し放っておいたら繋がった。それから、Mさんに渡すゲスの極み乙女の音源をコピーしようと探すが見つからない。いつのまにかiTunesの音源の置き場所が変わってしまっている。なぜそうなのかわからない。
リリー・フランキーのギャップ、とは「凶悪」の中での話ではなく、もうひとつの映画との役柄のギャップの話であった。もうひとつの映画、とは「そして父になる」という映画であるが、私は激しく観るのを躊躇している。なぜなら私はすでに父親だからだ……。