意味をあたえる

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人生という名のブログ

特に下調べをせずに書くが、漫画「ブラックジャック」の中に、「人生という名のSL」というのがあった。何巻だかはわからない。現在私の手元に「ブラックジャック」がないから。元々私の生まれ育った家には、ブラックジャックの単行本が10巻まであった。それが、私の部屋の本棚の一番上に平積みされていて、「ブラックジャック」という、赤い文字がベッドに寝ころぶ私を見下ろしている。それは父の買った本であった。本棚も父が買ったもので、中の本も父の本か、いくらか母の本もまじっていた。私の部屋は物置部屋を兼ねていて、私の物じゃないものも沢山置いてあった。家の中の一番北東に部屋は位置し、日当たりが悪くてカビ臭かった。しかし朝はいちばん明るかった。

私は長い間ブラックジャックを、自分の読む漫画だとは思っていなかったが、あるとき読んでみたらおもしろかったので11巻以降を私が集めることにした。父の集めていたものは当然版が古く、私の集め出したものは新しかった。父の版には表紙の下の方に「恐怖コミックス」と書かれていて、私の方は「ヒューマンコミックス」だった。関係ないが、昔「ヒューマン」というゲームソフトの会社があって、今もあるかもしれないが、昔、というのは昔発売された「フォーメーションサッカー」というシリーズのことを指し、私はPCエンジン版の「2」を狂ったようにプレイした。弱いチームから順繰りに勝っていくのだが、最後のボス的チームが「ヒューマン」という名前のチームで黒いユニフォームでべらぼうに強い。火の玉シュートを撃つやつもいた。だから、これはサッカーゲームというよりも、恐怖ゲームだったのかもしれない。

今思い返すと、私のベストゲームはこの「フォーメーションサッカー2」だったかもしれない。今思い出したが、このゲームはスーパーファミコンだった。最初は全然点が取れなくて負けてばかりだったが、ファミコン通信という雑誌で特集を組まれたときに得点パターンが3つくらい紹介されていて、私はそれを参考に沢山練習した。私はその頃中学生だった。テニス部に所属していたが、テニスの練習なんて馬鹿らしくてやってらんなかった。前にも書いたが、金太郎のような、桃太郎のような顔をした一年上の先輩がいて、そいつがえばってばかりいたのである。本物の桃太郎なら、一年どころじゃない先輩なのだが。とにかく私はフォーメーションサッカーの練習に精を出し、やがて点が取れるようになってきた。母がその横でいつも洗濯物をたたんでいた。その部屋は洗濯物を取り込む部屋でもあったからだ。母はマネージャーのようだった。

話は戻るが、「人生という名のSL」を読んだとき、私はこれは最終回ではないかと錯覚した。話はあるときブラックジャックがSLの中にいて、細かいことは忘れたが、乗り合わせた乗客がかつての恋人や家族やライバルのドクターキリコや、恩師の本間丈太郎など、死人生き人関係なく現れて、ブラックジャックは混乱する。はっと気づくとそれは夢で、ピノコが、
「さあ、ちゅぎの患者さんがまってゆわのよ!」
ブラックジャックを激励して終わる。

こうやって書き出してみると、一体どこに最終回を見いだしたのかはわからないが、おそらく登場人物が勢ぞろいしたからである。人物の中には、ブラックジャックに無理難題をふっかける者もいた。

このエピソードは、文庫版では本当に最後に収録され、最終回になっていた気がする。しかし実際は最後に書かれたエピソードではない。そのあとも、普通に切ったり縫ったりと、話は続いていく。それは手塚治虫がこの世を去るまで続いたので、本物の最終回はない。そんな風に、いつまで続くかわからないものに対して、予め最終回を先に出しておくのも手だな、と私は思った。このブログも、いつ更新が途絶えるかはわからない。さよならの挨拶をきちんとできれば良いが、それが許される保証はない。だけど、「挨拶」は記事っぽくないからなんか気にくわない。私はたまに「お知らせ」というカテゴリーで、お知らせを書くときがあるが、それは自分の中では記事とはカウントせずに、まだ別の記事を書くことにしている。それもこれもはてはブログの「継続日数」というシステムのせいで、私はどうせ継続させるなら「記事」を継続させたいと思うから、お知らせだけでは、ズルをしたような気になってしまうのである。だから、私のはてなに対するささやかな要望は、記事更新時に、継続日数に加えるかどうかのチェックボックスをつけてもらうことである。

そういう考え方なので、最後も何も言わずに去ってしまう可能性も高いので、そんなときは、この記事を思い出して、
「あれが最終回っぽかったなァ」
としみじみ思ってください。また、何か思うことがあったら、書こうと思うので、「最終回」というカテゴリーも作っておきます。