意味をあたえる

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さいとうたかを「サバイバル」

昨夜Twitterを見ながら、ふとさいとうたかを「サバイバル」を思い出した。私が「サバイバル」を読んだのは小学生の時で、父親が持っていたのを、
「貸してー」
と言って読んだ。あるいは勝手に読んだ。父親は漫画、特に劇画が好きでゴルゴ13シティーハンター美味しんぼ、明日天気になあれ、ブラックジャック、等を持っていた。活字の本も持っていた。父は活字の本は本棚におさめていたが、漫画は部屋に入ってすぐのところに平積みにしていた。まだまだ漫画が蔑まれていた時代だったからだろうが。おかげで漫画は私の手の届くところにあり、私はそれを勝手に持ち出して読んだ。父の部屋は私の部屋のすぐ隣だったのである。あと課長島耕作も揃えていた。

そんな父に「漫画でいちばんは何?」と質問すると、「カムイ伝」と返ってきたが、家にカムイ伝はなかった。きいたら借りパクされたらしい。そうしたら数年前に愛蔵版が出て、ものすごい量のカムイ伝が実家に届き、実家がカムイ伝まみれになった。注文したのである。ついでに言うと母のいちばんは、大谷博子「星くず」である。

「サバイバル」について、覚えている限りでストーリーを説明すると、主人公の中学生のサトルが、ある日友達と高原に行ったら世界規模の大地震が起きて洞窟を探検していたサトルたちはサトルを残して全員死亡、なんとか脱出したものの周りに人は誰もおらずそこから「サバイバル」が始まるのである。地震の影響で、高原は無人島になっていて、サトルは誰の力も借りずに生きていかなければならない。最初は持っていたカメラのレンズとフィルムで火を起こし、肉まんに似た石をヤケクソで投げたら飛んでいた鳥にヒットして泣きながらそれを食べたり(サトルは元々鶏肉が苦手だった。「鶏肉なんかくえねえよ」と母に文句を言っていた子供の自分を思い出し、「母さん、鶏肉くえたよ」と泣きながら丸焼きにかぶりつくのである)落ちていた釘を針にして魚釣りなどしたが、あるとき海に潜ってみると民家があり(元はそこは陸地だった)そこで、サバイバルの本を見つけ、それは英字で書かれていたが、見よう見まねでサトルは住居や武器を作り、熊や虎と戦うのである。そのあとサトルは島を脱出し、家族を探している間に女やヤクザや病人や脱獄者や元プロ野球選手、ボケ老人や子供に会ったりしてたくましく成長する。途中で地滑りやキノコにあたったりアメリカ軍人に会ったり、富士山が核爆弾で変形したりする。Twitterのやりとりで、「主人公以外役に立たない」とあり、じっさいサトルと知り合った大人たちは様々な理由で命を落とし、サトル自身も
「俺には死神がついているのかもしれないな」
と思ったりする。この辺が、現在の「名探偵コナン」で、目暮警部に「事件があると、必ずおまえ等がいるな」と揶揄されるのに通ずるものがある。作者の心情である。

以下に「サバイバル」で私が得た知識などを並べていく。ただし、今から30年前の通説、フィクションなので、参考にはしないでもらいたい。

・公衆トイレは建物の大きさに対して柱の本数が多いので倒壊しづらい。
・ネズミは太いケーブルでも食いちぎり、コンクリートにも穴をあける。
・縦に割けるキノコは無毒(ただしそうでないのもあり、サトルは中毒症状を起こす)。
・フクロウはネズミを丸飲みする。
・ミミズにはいくらか栄養がある。
・ザリガニは目が見えなくても釣れる。
カモシカを仕留めるには、風下から狙うのがセオリー。
・江戸時代は1日2食だった。
・熊は火を怖がるが、それを人間の目印にしてしまうこともある。

今週のお題「人生に影響を与えた1冊」