意味をあたえる

文章としかいいようがない fktack@yahoo.co.jp

局長さんが、車を買った

昨日局長さんが車を購入したという記事を書かれていて、それが面白かったのでむさぼるように読んだ。私はもうすでに今まで三台か四台車を購入したことがあるから、
「わかるわかるー」
みたいな気持ちで読んでいた。しかし実は私の叔父が中古車販売業をやっているから、実際は局長さんほど中古車店をまわってはいないし、あと車を購入するときによく言う
「こみこみで」
という隠語があって、これはつまり車本体に諸費用税金ぜんぶ含めるといくら? というときに使う語で、つまり購入者が実際に財布からいくら出せばいいのか、という話であり、「込み込み」ということだった。だから私は実は局長さんほど、諸費用について真面目に考えていなかったから、もしかしたら余計に金を取られたかもしれない。しかし私は高校生くらいまでは、叔父に正月などはお年玉をもらっていたから、多少高くついても
「お年玉を返している」
という気持ちでいれば、納得できるぶぶんもあった。それと私は大学を卒業してから二年くらいは就職もせず、なんとなく過ごしていた。もちろんそのときは音楽をやっていたが、今振り返ると、もうなんとなくでも一緒だった。その頃に叔父の車屋でアルバイトをしていて、そこは洗車場も兼ねていたから、私はそこの店番をすることになった。店番と言っても電話は転送されるし、洗車場より中古車販売がメインだからお客は一日にひとりかふたりしかこないから、私は大抵暇だった。たまにお客の車を洗え、と言われることもあったが、たまにだったから洗車の腕も上がることもなく、また私自身にもやる気がなかったから、当初は叔父は私にオイル交換とか、簡単なメンテナンス作業をやらせるつもりだったが、結局なにも習わなかった。そのうちに
「資格でもとれば?」
と言われ、簿記と宅建を取った。もう途中からは仕事ではなく自習しに行っているようなものだった。勉強していれば叔父も満足するらしく、要するに私は金をもらって勉強をしていた。勤務時間の管理は、事務所の尾久の部屋にかけられたカレンダーにマジックで毎回出勤退勤時刻を書くことになっており、そのカレンダーとはいわゆる女性のヌードが載った「エロカレンダー」だったのである。別に叔父が特別エロいというわけではなく、叔父は事務所に得意先などからもらったカレンダーをぜんぶ壁にかけていて、その中にどういうわけかエロカレンダーがあったのである。エロカレンダーの下のぶぶんにはちゃんと、
「○○自動車」
と印字されていて、こいつのエロが相当なのだ。個人事業主は年末にカレンダー配りに奔走するが、ここの社長は車の後部座席にエロカレンダーを山積みにして、得意先を回るのだ。そしてその一冊は私の勤務管理簿代わりになった。さすがにお客のみ目に付くところにはかけられなかったのである。私の時給は七百いくらだった。残業代も出た。

こうやって文にしてみると、至れり尽くせりだったから、やはり多少ぼったくられたりしても仕方ない、と私は思ってしまうが、妻には全く関係なく、最近パート先で妙な知恵をつけ、
「車検はオートバックスのほうが安いよ」
とか言ってくるから困ってしまう。