意味をあたえる

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アルフィーについて

私は生まれて初めて買った音楽CDのアルバムはアルフィーのジャーニーで、シングルだと大事マンブラザーズのそれが大事である。シングルのほうが早いので大事マンが最初のCDだ。小学校の卒業祝いにラジカセを買ってもらい、数日してCDも母にねだって買ってもらった。まるひろというデパートの四階の山野楽器であった。しかし私だけ買ってもらうのも悪いので妹も弟もいたから各自一枚ずつ買ってもらおうと提案した。母は渋々だが買ってくれた。妹は西田ひかるで弟は嘉門達夫だった。弟はピアノ売り場でうろうろしていたら警報が鳴った。まだ会計は済んでいなかったのである。母が店員に平謝りし、店員は「いいんですよ」とにこやかだった。確かに売り場から外れただけで、店からは出ていないのだから、これは窃盗とは言えなかった。CDは三枚でもラジカセは一枚だから、三人で順番こに聴いたのだろう。ラジカセは置き場がないからとりあえず妹のピアノの上に置き、妹はとうぜん嫌がった。しかし妹だって西田ひかるが聴きたいだろうから、しぶしぶ了承した。音楽とはしぶしぶ聴くものである。それから一年と少しして私の家は二階を増築してそれぞれの部屋が与えられ、もうラジカセをピアノを置く必要はなかった。私は自分用の棚を購入した。

それから8年くらいして、再びアルフィーのCDを買った。今度はヌーベルバーグである。私はアルフィーはこの二枚しか持っていなかった。どちらも少し聴いたら飽きたが、去年アップルミュージックに加入したとき試しに探してみたらどちらもあって、それ以来たまに聴くようになった。そもそも私が最初にアルフィーを聴いたのは当時アルフィーのメンバーがとんねるずとテレビで卓球対決をしていて、それが終わると
「今度アルバムが出ます」
と宣伝をし、私は「買ってください」と言うから買うことにした。私は最初のうちは素直なのである。生まれて初めて買ってもらった「てれびくん」という雑誌のマンガにも「2月号につづく」とあるからあわてて母に、
「つづくって言うんじゃ、次も買わなきゃ」
と訴えたら買ってくれ、いつまでも「○号に続く」とあるから私は結局四年くらい読み続けた。しかし実際続いてなどいなかったのである。その後はコロコロ→ボンボン→ファミ通と続いた。ファミ通を初めて買ってもらったときは母に
「エッチな本?」
と言われ、私は否定したがファミ通はたまにエッチなゲーム特集もしたからあながち間違いでもなかった。

アルフィーに話しは戻るが、アルフィーは三人がボーカルをとるグループであるが、桜井の声はすぐにわかるが、坂崎と高見沢の声の違いが私には区別がつかず、長い間坂崎だと思っていたのが、数年前に高見沢がひとりでテレビで歌っているのを見て、その声に驚き、
「あの、坂崎の声だと思ったの、実は高見沢だったんだ!」
と思った。そうなると今度は坂崎の声がわからなくなる。私のイメージだとフランス革命だとか大仰なことを歌うのは高見沢、学生運動のことを歌うのは坂崎、あととにかく売れそうな歌を節操なく歌うのが桜井だった。私が生まれて初めてアルフィーのジャーニーを買ったとき、父に
アルフィーなんて知らないだろう?」
と言ったら父は
「知ってる。ひとり声の高いやつがいる」
と答え、その時点では父は私よりもアルフィーに詳しかった。そのときからずっとその声の高いやつとは、高見沢だと思っていたが、実は坂崎なのかもしれない。それと父は桜井が秩父の酒屋の倅だということも知っていて、職場のキャンプのとき、桜井の酒屋で酒を調達したことを、何度も私に話した。親というのはこうやって子供の気を引こうとするのである。そんな親心も知らず、私は十代は米米CLUBが好きで、それは叔父の影響だった。私は父に悪いことをした。それは私の子供が、パスピエ相対性理論イエモンブランキーよりも、ゆずが好き、というようなものである。ゆずは義妹がファンなのだ。ゆずの二人に恨みはないが、私の子供が熱心にゆずを聴くようになったら私は傷つくだろう。