私の子供が獲物をねらう豹のようなポーズでテレビを見ていた。なぜかというと隣の台所のテレビをのぞき見していたからで最初は自室のテレビを見ていたが気になってのぞいたからそんなポーズになったのである。スカートを履いていたから下着は丸見えである。まだ家の中で家族しかいなければ羞恥心を抱かない年頃であった。私はその豹のポーズに気づくまでは何かをしていたはずだがもう忘れてしまった。二人掛けのソファーの肘掛けに頭を載せ天井でも眺めていたのか。週の始めの朝に同じ体勢でうとうとしたらその後めまいがした。そのときは星空のように天井の梁が回り気持ちが悪いから目をつぶった。とにかく私の三半規管はもろく今日も車を運転しながら
「ああ気持ち悪いな」
と思う瞬間があった。とにかく今年は暑さに弱い夏で冷房の効きが悪いと気持ち悪くなった。効き過ぎると足先が冷えてきてつらくなる。結局自然の風がいいと窓を開けたまま寝たらいつだったか夜中に雨の音で目が覚めた。慌てて二階の窓を閉めて回り長女の部屋に行くと暗闇の中スマホをやっていた。
今日は休みだったので子供を連れてマクドナルドへ行った。私の中で好きなマクドナルドと嫌いなマクドナルドがあって傾向としては古いマクドナルドが好きだ。二年前に叔母の施設へ行ったときに叔母の施設は成増駅のそばにあるので駅を降りてすぐのマクドナルドへ行ったらそこは昔からあるような床や壁をしていて良かった。子供のころに座った座面が円形で背もたれのない椅子を思い出す。そこから歩いてすぐのところに産婦人科があって私の妹や弟が生まれた。私は店内で食べるのが好きだったが父親は嫌がるので店内で食べれるのは父が仕事で不在のときに限られた。私が父親になって子供とマクドナルドに行くと子供はドライブスルーに行きたがるが私はドライブスルーもあまり好きではないので妻がいなければ店内一択だった。私の家の人は私以外内弁慶なので外では居心地が悪そうにする。私は居心地を悪そうにする子供を眺めるのは好きだった。
産婦人科のそばのマクドナルドは取り壊されもっと家のそばに新しいのができたがとにかくそこは店員も客も質が悪くてできるだけ行きたくないと思うようになった。新しいマクドナルドは壁面にお経を英訳したような模様が描かれていてそれを決して野暮ったいとは思わないが次第に質の悪い客と店員を連想するようになって壁も好きでなくなった。インターネットではしばしばマクドナルドそのものが悪く言われることがあるが店舗によっては近所の子供を集めてひな祭りのなんだかを作るイベントをやったりしていてそういうところはやはり店員も穏やかで殺伐としていない。今日は隣の隣の自治体まで車を走らせて行ったらもし親子関係だったら絶対に「ババア」と呼びそうなおばさんが店員でハズレかと思ったが対応としては悪くなかった。とにかく空いていて良かった。トイレは信じられないくらい暑かった。