意味をあたえる

文章としかいいようがない fktack@yahoo.co.jp

給料日

就職して間もない頃私は教育係の40代の席の端に椅子を置いて書類にホチキスを刺したりしていたがその反対側の隣はやはり40代くらいの女性でメガネをかけていたが卓上のカレンダーの25日のところに

「pay-day」

と書いていた 確か私と同じくらいの子がいる人であった 私は社会人とはこういうことをするのかと感心した なにせ当時の私は社会人というものを見下していたから目に映るものすべてアホらしく見えたのである その前までコンビニでバイトをしていてレジにくる社会人があまりに偉そうにするからそれならなってみようかと思って就職したのである 職安に行き二つほど面接を受けたが不採用だった 二つ目は工場で交通費として1000円くれた もう大学を卒業して2年近く経ったから情報を共有したりする仲間もいなくて孤独だった 面接に来いと言われなかなか会社の場所が見つからなくて工業団地の広い道をぐるぐる回ったときの地に足がつかないかんじったらなかった 車で行き当然駐車場はあるのだがどの位置に停めるのがマナーなのか見当もつかない そういう気持ちは一度就職するときれいに忘れ平気で「どこでもいいよ」と思うようになる 


そのときは3社目で決まったがそこは職安の人が「ここは絶対受けろ」というから受けたら受かった場所でそこを4年半勤めて辞めた それから半年ずつ勤めては辞めという時期があっていちいち面接は受けたから私は面接に詳しい まず面接は晴れの日が多い 転職したときは今思うと私は完全に社会人に毒されていてよろしくお願いしますみたいなスタンスになってしまっていた そうすると相手はどんどんつけあがり「まあとる気ないんだけど」みたいなことを言う人もいて私もニコニコしながら「まあそう言わずに話だけでも聞いてください」なんて言ったりして今思えば時間の無駄だ 自分の短所を言わされたり「あなたが当社にどのようなプラスをもたらすのか」とか聞かれたり酷いところほどドラマチックだ 逆にうまく行くところは長くても短くても世間話みたいな時間帯がある 「そんな固くならずに」という配慮が好意の証なのである だから今は圧迫面接も古いしあまりドラマチックな面接は早いところで切り上げてしまったほうが良い


卓上カレンダーに「pay-day」と書いていた女性は実は仕事のできない人で私が入って3ヶ月くらいしたら辞めさせられてしまった