意味をあたえる

文章としかいいようがない fktack@yahoo.co.jp

大団円というわけではないけれど

世界のすべての七月を読み終わった。後半は読み進めるのがかなりしんどかったが、終わりが近づくにつれ妙にすっきりしてみんなが収まるところに収まった。決して大団円というわけではないけれど、大したケガもなく着地できた感じだ。もちろん死んだ人は死んだままだ。死んだ人は物語の始まる前から死んでいるからノーカンだ。


そういえば読んで一気につらくなったのがモップ会社の社長が秘書に「実は小説家なんだ」と嘘をついて口説くあたりだった。この社長は太っちょで心臓も悪いのだが、嘘をつけばつくほど痩せるのである。そしてカミングアウトしてまた太るのだ。嘘をつかれた秘書は気の毒だが、この女も見栄っ張りで嘘をつき続けることを強制し、結婚までするのだ。こうやって書いていると笑っちゃいそうになるが、読んでいるときはどうしてこんなつらい思いをしながら読まなきゃいけないんだ? と思っていた。しかしマーブ(太っちょ)はスプーク・スピネリという女に片思いをしてスプークは2人の男と結婚している。つまり群像劇なのである。スプーク・スピネリという女はマーブに対して思わせぶりをするばかりで嫌な女だったが、とにかく名前が格好よかった。


あとは時折人間のふりをした悪魔みたいな人が出てきて登場人物を罠にはめる。だいたいその人は背が低いのである。罠にハマったのはジャンという女で、しかしジャンは初登場時から「相変わらず」といったポジションでけっして確信には触れないのである。