意味をあたえる

文章としかいいようがない fktack@yahoo.co.jp

カレー臭

蒸し暑い中ひたすら倉庫で作業をしていたら不意に自分の身体・または衣服からカブトムシの臭いがした。具体的に言うとカブトムシの足の付け根のような臭いだ。私はカブトムシにはあまり詳しくないが背中の固いぶぶんというのは素材的に無臭な気がし臭うのはやはり裏側の栗の渋皮のような細かい毛の生えたぶぶんだと思う。毛は腹や顔にも生えているが脚の付近のそれはは動きによってしょっちゅう寝たり起きたりするから様々な空気を取り込みそれがカブトムシの独特の臭いになると推測する。私は今宇宙の本を読んでいてそこにアインシュタイン夫婦がある物理学者のこもる山を訪れるエピソードが紹介されていて私はこの学者の名前をど忘れしたがこの人は宇宙が膨張してることを観測した超メジャーな望遠鏡の名前にもなっている人だ。とにかくその人は踊る大捜査線で例えると青島でアインシュタインは室井なのだが室井が現場で馬鹿でかい望遠鏡を見せてもらうと室井の妻のエルザが
「これもすごいけど宅の主人なんかは封筒の裏に式を書いてわかっちゃうんだから尚すごい」
みたいな自慢をして一同苦笑いをしたというエピソードがあった。とにかく私が言いたいのは私はどちらかといえばアインシュタインタイプでカブトムシの臭いについてあれやこれや考えるが実際にかいでみようなんて思わないのである。その臭いが私からした。私は暑いところにいたからちょっと気持ち悪くなったので涼しいところにも行った。


ひょっとしたら中年なので臭うのかもしれないと思った。それは加齢臭と呼ばれるがその言葉が出始めたころ私は「カレー臭」だと思っていていわゆるおじさんの臭いはカレーと似ているからそう呼ぶんだと勝手に解釈した。私の想像力は都合よくできていてそんな風に考えてもカレーを食べるときに中年男を連想しないのである。私は子供のころはカレーが好物で年頃の妹が
「カレーは太るから食べない」
と言ったのに憤慨したものだが今はもう並みでそういえばカレー好きを公言しながらココイチは一度か二度しか行ったことがないし好みのルーがあるわけでもない。私が小学校高学年くらいからオタクという言葉があるがある種の人たちのこだわりというか網羅する意気込みはすごい。子供のころにはビックリマンチョコがあって人によっては辞書みたいな厚さに輪ゴムをぐるぐる巻きにして色んなところに参上していたがそもそも私はシールをコレクションするという発想についていけなかった。シールは一刻も早く貼るものでありシールを手にして得る権利とは所有権ではなく貼る場所の裁量を手にすることだと思っていた。私はフィジーの原住民みたいだと自分で思う。だけどその一方で私はガンダムには目がなくてそういえばガチャポンだとかBB戦士は目の色を変えて買いまくった。しかしそれでもアニメのガンダムは見たことがなく総括すると私は二次元を嫌悪しているだけなのかもしれない。しかしカレーはカレーだ。カレー臭が実は加齢臭だと知ったときあの臭いに名前があるのかと感心した。私は知っていたのである。だけど具体的に誰のをどこで嗅いだのか全く思い出せない。父がああいう臭いをしたことがあったか。父はあまり家にいなかったからわからない。父は私が子供のころはまだ若かった。私が子供のころ父は今の私よりも若いから「若かった」なんて言えるのである。父は背が低いが髪はあった。二人の叔父はその逆で背は高いが頭はうすい。高いと言っても170くらいだ。父が153で小さすぎるのである。母より小さい。母は158で父よりひとつ上だから私は年齢と背丈は比例するのだと幼いころ思った。二人の叔父のうち父に近いほうはいつもジャージをはいていた。若いころは野球をしていた。