意味をあたえる

文章としかいいようがない fktack@yahoo.co.jp

菜の花タッチ

道路を走っていると向こうから自転車の集団がやってきた 女子たちは一列にみんな揃いの白いヘルメットをかぶっている 一列なのはそこは比較的車通りの多い県道で歩道の中を走っていたからだ 中学生である 制服の真新しさからつい数日前に入学式を終えたばかりだとわかる 不意に先頭の女子が道路とは反対側に手を伸ばし、畑に生えていた菜の花にタッチをしたすると後ろの女子たちも駅の改札を通るみたいにぱぱぱぱぱっと連続でタッチしていった まだ少女のつもりなのである 私はハンドルを握りながらクスリとしてしまった ずいぶん背の高い菜の花であった 私の背よりも大きい 私は耳鼻科で薬をもらうために車を走らせていた それまでは昼寝をしたり緩い一日だった 


耳鼻科はびっくりするくらい空いていた 今年は空いていることが多い 数年前に行ったときは激混みだったから時期だし仕方ないと諦めていたが医師がなにかやらかしたのだろうか 診察室に入るとラジオが遠慮がちな音量でかかっていた 診察は一瞬で終わった 薬局へ行くと同じ番組が今度は大きな音量でかかっていた