意味をあたえる

文章としかいいようがない fktack@yahoo.co.jp

一脚

子供の運動会に行くと一脚のカメラをよく見かけた 流行なのだろうか 木陰や日向で仕込み刀のように持ち運ぶ姿が見られた 実際に置いて撮影するところは見なかった 私が居眠りばかりしていたからである 妻の友達のおかげで今まででいちばん良い席がとれた カメラといえば三脚だが一脚もあって以前父に聞いたら
「昔スギウラが使っていて羨ましかった」
と教えてくれた なんだかスギウラ自身が片足のような錯覚をおぼえた スギウラも誰かの父親で父親同士が互いのカメラや設備をチェックし合っていたのである 無論子供時代の私が知る由もなく私は競技に熱中した 私は小学時代は比較的ひねくれも少なくまた徒競走で一位になることもあって運動会は嫌じゃなかった 声をからして応援すると相手の動きが良くなるようにも見えた 低学年の頃は団長がその道のプロのように見えた 今は子供の足が遅すぎて驚く また応援席は背の高いテントばかりになって味気ない 議員がまぶしい白色のシャツを着てそこらで声をかけまくって帰って行った 彼は頭が悪いしそもそも地元は隣村だからとても私たちのために何かしてくれるとは思えなかった