意味をあたえる

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世界のすべての七月

ティム・オブライエンは今まで「本当の戦争の話をしよう」と「ニュークリア・エイジ」を読んでいて、そろそろ次も読もうと思ってこの「世界のすべての七月」を読んでいる。私はここ数年あまり小説を読んでいなかったのでちゃんと読み続けられるか不安だったが、その前に「ミレニアム」を読んだらやっぱり軽くて物足りなくなって手を出した。エンターテイメント系はページをめくるのが楽しいが、読んだ後に何かがすっ飛ばされたような気がしてしまう。一方文学系は読み終えるのがイチかバチかになり勝ちである。


「世界のーー」も最初はベトナム戦争が出てきてそこは「本当の戦争の話をしよう」に近くて楽しむことができたが、徐々にしんどくなってきた。読んでいるときは気づかないが、登場人物が皆不幸で気の毒なのである。物事が残念な方へ進むのをただ眺める小説なのである。昨日は後半の方を読んでいて、モップ製造会社の社長が美人の秘書に自分が小説家だと嘘をついて口説き落とすという話で、だます方もだまされる方も見てられなくて早く読み終わらないものかと困惑しながら読み進めた。エッチな妄想をしながら強盗に殺される女も出てくる。複数の主人公がいて、みんな大きな不幸か中くらいの不幸な目に遭う。そして本の最初には登場人物紹介の項がある。そういえば「ミレニアム」にも登場人物紹介があって、最近は紹介ばかりされている。