冷蔵庫を開けて、真ん中の段にある納豆を取り出し、日付を見ると今日であり、しかしながら、これはまだ、3個パックの1つ目だ。その奥にはさらに未開封の3個パックがあり、それも確か日付が同じだ。生協の人が持って来て、俺が受け取ったからそのときに日付を確認したから知っているのだ。生協はだいたい俺と同じくらいの年齢の男で、もしかしたら妻が出なかったからがっかりしたかもしれない。
それで、納豆はひきわりで、中のフィルムを剥がすときに何粒かくっついてしまい、例えばお茶碗にご飯粒を残すのはマナー違反と聞くが、納豆はどうなんでしょうか? でも結局は捨てる、気が向いたら何粒かは取るが、やはり全部は無理だ。そうして納豆を食べながらテレビをつけて、チャンネルをEテレに変えると、妙に懐かしい気がする。何故かと考えるとすぐにその理由はわかった。今はネモちゃんが、7時15分に家を出るが、以前は8時で、8時までEテレを観ることができた。今日たまたまテレビをつけたら7時15分以降の番組で、その時間帯はもう半年以上観ていない。今は目覚ましテレビとか、ZIPとかそういうので、そういうのは俺はちっとも面白くないから、今日はひとりだからEテレを見たら懐かしかった。人形たちと人間が、ちょうど手を振っていて、俺が観ていないあいだも変わらず活動していることが、奇妙に感じた。
それからいないいないばあが始まり、適当に流していたら、幼稚園児の即興のお話コーナーが始まり、俺はこれが好きなので、集中して聞くことにした。以下話の要旨。
あるところにお婆さんが1人で住んでいた。お婆さんは川へ魚獲りに出かけた。お婆さんが水中メガネをつけて、川に潜ると、メガネを付けているあいだだけ見えるサメがわんさかいた。お婆さんが驚いていると、サメの一匹が近づいて来て、お婆さんの頭を撫でると、お婆さんはみるみる若返った。若返って元気になったお婆さんは、たくさんの魚を獲ることができた。おしまい。
俺は以前にも、幼児の即興の話が最高だ、と書いた気がしていたが、もしかしたら、今日はハズレかもれない、と思いながら聞き始めたら、十分面白かった。お婆さんが水中メガネをつけるくだりでは、噴き出してしまった。お婆さんと水中メガネってミスマッチでいいなあ。でも海女さんとかはつけている。しかし、それはもっと古臭いイメージで、このお話の水中メガネはきっと、ホームセンターなどで売っているような、プラスチックとゴム製の、青とか黄色とかピンクのやつだ。
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